できるだけかかわらないようにするしかない
もし生活のなかでそういう人と出会ってしまったら……。精神科医の片田珠美さんの説く“対処法”は、絶望的ですらある。
「罪悪感を抱かない人を変えることは難しく、むしろそういう人だと割り切った方がいい。とれる対処法は、“できるだけかかわらないよう距離をとる”くらいしかないのが現実です」
できるだけ冷静に対応することを勧めるのは、精神科医の香山リカさんだ。
「“あなたが言っていることもわかる”といったん受け止めてあげるのがいいでしょう。こちらは決してあなたの敵ではない、見下そうとしているわけではない、というサインを出してあげるとスムーズに運ぶかもしれません」
それでも「絶対に謝らない人」に腹が立つことはあるはずだ。相手を変えるのが難しいなら、こちらが変わるしかない。認定心理士の脇田尚揮さんは「ストレスコーピング」という心構えを持つことの有用性を説く。
「これはリチャード・ラザルスという心理学者が提唱した手法です。人間は未知のものには期待を抱きやすく、そこから逸脱すると怒りやストレスを感じる。だから相手を『この人は謝らない人』とラベリングしておけば、期待を持つこともなくなり、怒りが収まるようになります」
なにより厄介なのは、「絶対に謝らない人」は人を惹きつける魅力を持っている点だ。
「非常に強い自己愛には、他人を惹きつける“吸引力”があります。“私は絶対に正しい”“決して諦めないで自己愛を満たす”と欲望のままに突き進む姿は、周囲に“すごい人だ”と錯覚されやすく、憧れられる存在になりやすい」(片田さん)