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放送禁止歌は解禁されても、炎上恐れた自主規制が増える現代の矛盾

なぎら健壱氏は嘆く

なぎら健壱氏は嘆く

 フォークシンガーの高田渡さん(享年56)が軽快なリズムに乗せて歌う『自衛隊に入ろう』は、自衛隊の街頭勧誘での宣伝文句を風刺した歌だ。1968年に発表してテレビで歌ったところ、防衛庁から自衛隊のPRソングにしたいと依頼があったという。

 皮肉が通じず、言葉通りに自衛隊を礼賛していると受け取られたのだ。放送禁止歌扱いになってもライブで歌っていたが、この歌をきっかけに自衛隊に入隊した人がいたため、自ら封印したといわれている。

「コンサートでは会場が一体となって大合唱されることもありましたが、これをいま作ったら、すぐさま炎上でしょう。歌詞の行間や裏に込められた思いを、聞き手がしっかり受け取ることができた時代だったからこそ、一時ではあったけれど受け入れられたんだと思います」(森達也さん)

“放送禁止”という自主規制は徐々に解除され、一時、表現の世界に自由が戻ってきた。

 が、誰もが自分の考えを拡散できるSNSの登場が、そうした流れを押し戻そうとしている。いわゆる“炎上”を恐れた放送局側が「コンプライアンス(法令遵守)」という言葉のもと、自社の表現活動を自ら規制するようになったのだ。

「当たり障りのない表現にしようと“忖度”するのは本末転倒」と言うなぎらの言葉をいま一度かみしめたい。

※女性セブン2021年5月20日・27日号

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