同じく「血液サラサラ」成分のサプリは処方薬とののみ合わせにも危険が潜む。
特に専門家が注意を促すのは、青魚に多く含まれるDHAやEPAだ。血液サラサラ効果に加え、アレルギーの軽減にも関与するとされ、サプリで手軽に補おうとする人も多い。
だが、アクアメディカルクリニック院長の寺田武史さんは摂りすぎると危険な人もいると指摘する。
「不整脈や血栓症などに処方されるワルファリンなど、血液が固まりにくくなる薬をのんでいる人は、DHAやEPAのサプリを一緒にのむことで、出血するとすぐに止まらなくなることがある。
降圧剤を服用している人も血圧が大きく下がってしまう可能性があるため、処方されている期間はサプリを控えることをすすめます」(寺田さん)
骨を作るのに欠かせないビタミンKやイチョウ葉も、同様の理由から注意が必要だ。
「抗酸化作用を持ち、アンチエイジング効果があるとされる『コエンザイムQ10』も血液凝固を抑制する働きがあり、ワルファリンとの併用は避けた方がいい。血流がよくなりすぎて、内出血したときも血が止まらず、あざができてしまうケースもあります」(廣瀬さん)
眠気覚ましやカンフル剤としてのむことが多いカフェイン入りの栄養剤や錠剤も注意が必要だ。「薬の効果を阻害することがある」と寺田さんは指摘する。
「特に降圧剤とカフェインの組み合わせはNG。カフェインは血圧や血糖値を上げる作用があり、そのため薬が効かなくなったり血圧が乱高下したりする可能性が。血糖を下げる薬をのんでいる場合も同様です」(寺田さん)
降圧剤は服用率が高く、70才以上の女性の過半数がのんでいるというデータもある。サプリとののみ合わせには充分気をつけたい。
話題のビタミンDと相性の悪いクスリも
降圧剤とののみ合わせに加えて多くの専門家が注意を促しているのはハーブ由来のサプリである「セントジョーンズワート」だ。東海大学医学部客員教授で内分泌・糖尿病専門医の久保明さんが言う。
「セントジョーンズワートとは、不安や気分障害を和らげる、女性に人気のサプリですが、基本的に医薬品の服用中は避けた方がいい。アメリカの家庭医の学会でも、ワルファリンや経口避妊薬などの複数の薬と相互作用があると指摘されています」
寺田さんは特に抗うつ剤と併用した際の危険性について言及する。
「一部の抗うつ剤は“幸せホルモン”のセロトニンの分泌を促しますが、セントジョーンズワートにも同様の効用がある。過剰摂取によってセロトニンの血中濃度が上がりすぎてしまった結果、吐き気や頭痛といった症状が出ることがあります」