国内

「逃げ恥婚」に沸く日本でいま、「逃げるは恥だし腹が立つ」人たち

結婚で広告業界からもさらなる熱視線(時事通信フォト)

国民的慶事に(時事通信フォト)

 ネガティブな響きを持つ言葉がとんでもなくポジティブに語られるのを目にするつけ、ふと本来の意味に思いを馳せてみたくなるのも人の性、かもしれない。コラムニストの石原壮一郎氏が考察した。

 * * *
 コロナ禍が収まる気配を見せない中、久しぶりに明るくおめでたいビッグニュースがありました。女優の新垣結衣と歌手の星野源が5月19日、近く結婚することを発表。ニュースが流れた途端、ネットの世界でもリアルの世界でも、驚き(一部ショック)の絶叫や祝福の声がこだましました。

 この衝撃の結婚は、ふたりが共演した大人気ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』にちなんで、「逃げ恥婚」と呼ばれています。その呼称とは裏腹に、たとえ困難があってもふたりで力を合わせて、逃げずに立ち向かっていくことでしょう。

 話は変わりますが、今の日本には「また逃げ恥だよ」と言いたくなる事例が山ほどあります。いや、おめでたい話に続けてしまって申し訳ありません。こちらの「逃げ恥」は、略さずに言うと「逃げるは恥だし腹が立つ」です。当事者にとっては、保身なり何なり、逃げることが「役に立つ」なのかもしれませんけど。

 素敵なふたりのさわやかな結婚をさらに明るく引き立てる意味を込めつつ、ダークでくすんだ「逃げ恥事例」を5つピックアップしてみましょう。

【その1】「監視カメラのビデオ映像の開示から逃げている法務省」

 名古屋出入国在留管理局に収容されたスリランカ人女性が死亡した事件で、遺族の強い訴えにもかかわらず、法務省は頑なに監視カメラのビデオ映像を見せようとはしません。恥も外聞もなく逃げ続けていると言っていいでしょう。

 その結果、政府は今国会に提出していた出入国管理法改正案を引っ込めることになりました。「そこまでして非公開での開示も嫌だと言っているのは、よっぽど都合の悪いことが映っているからじゃないの?」という疑念は強まる一方です。もし、世間の関心が薄れるのを待っているんだとしたら、恥の上塗りとしか言いようがありません。

【その2】「署名の偽造は知らなかったと逃げる高須院長と河村市長」

 大村秀章・愛知県知事のリコール運動を巡る署名偽造事件で19日、署名活動団体事務局長のほか4人が逮捕されました。しかし、リコール運動の発案者のひとりである名古屋市の河村たかし市長は「なぜ署名偽造に気づけなかったのか。情けなく、正当に署名してもらった人に申し訳ない。(田中容疑者らの逮捕で)私が一切、署名偽造に関与していなかったことが明らかになると思う」と、恥ずかしげもなく逃げの発言を繰り返しています。

 署名活動団体の会長である美容外科医の高須克弥氏も、秘書が大量の署名に指印を押す不正に関与したらしいことがわかりました。しかし「何百人もやっていた中の1人です」と言ってみたり、風向きが危うくなった先月には河村市長との「絶交」を宣言したりなど、見事に厚顔な逃げっぷりです。「全責任は僕にあります」とTwitterに書いたりしていますが、あくまで「自分は知らなかった」というスタンスを崩す気配はありません。

関連キーワード

関連記事

トピックス

全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる
JR東日本はクマとの衝突で71件の輸送障害 保線作業員はクマ撃退スプレーを携行、出没状況を踏まえて忌避剤を散布 貨物列車と衝突すれば首都圏の生活に大きな影響出るか
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
(写真/イメージマート)
《全国で被害多発》クマ騒動とコロナ騒動の共通点 “新しい恐怖”にどう立ち向かえばいいのか【石原壮一郎氏が解説】
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
”クマ研究の権威”である坪田敏男教授がインタビューに答えた
ことし“冬眠しないクマ”は増えるのか? 熊研究の権威・坪田敏男教授が語る“リアルなクマ分析”「エサが足りずイライラ状態になっている」
NEWSポストセブン
“ポケットイン”で話題になった劉勁松アジア局長(時事通信フォト)
“両手ポケットイン”中国外交官が「ニコニコ笑顔」で「握手のため自ら手を差し伸べた」“意外な相手”とは【日中局長会議の動画がアジアで波紋】
NEWSポストセブン
11月10日、金屏風の前で婚約会見を行った歌舞伎俳優の中村橋之助と元乃木坂46で女優の能條愛未
《中村橋之助&能條愛未が歌舞伎界で12年9か月ぶりの金屏風会見》三田寛子、藤原紀香、前田愛…一家を支える完璧で最強な“梨園の妻”たち
女性セブン
土曜プレミアムで放送される映画『テルマエ・ロマエ』
《一連の騒動の影響は?》フジテレビ特番枠『土曜プレミアム』に異変 かつての映画枠『ゴールデン洋画劇場』に回帰か、それとも苦渋の選択か 
NEWSポストセブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン
ラオスを公式訪問されている天皇皇后両陛下の長女・愛子さまラオス訪問(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《何もかもが美しく素晴らしい》愛子さま、ラオスでの晩餐会で魅せた着物姿に上がる絶賛の声 「菊」「橘」など縁起の良い柄で示された“親善”のお気持ち
NEWSポストセブン