SNSにアップした写真で…
合鍵を作ることは至難とされたディンプルキーも、番号さえわかれば合鍵を注文することができてしまう。
「20年ほど前、ピッキングによる窃盗犯罪が増え、その対策のため鍵の表面に筋や穴などの情報を入れた防犯性の高いディンプルキーが普及してきました。ディンプルキーは当時、街角のキーコーナーで複製できなかったので、メーカーに鍵番号を伝えて合鍵を入手するのが一般的になり、結果的にそうした方法が知られるようになりました。
当組合としては、合鍵販売をネットや郵送で行なうこと自体は否定しませんが、合鍵を扱う業者は資格制度もなく、依頼者が鍵の所有者なのかを確認するような法制度がないのも事実です。鍵番号を知っているということはそれを知り得る管理会社や本人だとみなされるのが現状です。鍵番号をきちんと管理する重要性を知ってもらうことが大事です」(同前)
なかには鍵番号に加えて「ID番号」も揃えないと複製できない認証システムになっているディンプルキーもあるが、普及は進んでいないという。
「合鍵」を悪用した犯罪が増加傾向にあることを受け、身分証明書の添付など本人確認を強化している業者もあるが、あくまでそれぞれの企業努力によるという状況だ。ある合鍵販売業者が言う。
「ネット販売をしている業者は、依頼者情報が嘘であっても確認しようがないし、送付先が私書箱でも注文を受けたら送らざるを得ない。
警察から合鍵被害の捜査で“この鍵番号の複製を受注したか”といった問い合わせはたまにあります。鍵が写り込んだSNSの写真から番号を読み取られ、合鍵が複製された事例もある。腰からジャラジャラと鍵をぶら下げている人を見ますが、防犯意識の低さに驚きます」
たとえば食事の席で、鍵が剥き出しの状態になったキーケースを何気なくテーブルの上に置いていることもあるかもしれない。職場やジムなどで、ちょっとした隙に周囲の人が鍵を盗み見するのは容易だろう。
「ICカードキーや指紋認証キーは複製が難しいが、そういった最新型ロックのほとんどに停電など非常時用の鍵が付属していて、鍵番号が刻印されている。だから、非常用キーも厳重な管理を推奨しています。
鍵番号は個人情報で、見える場所にあると盗用される恐れがあるので、クレジットカードの番号と同じようなものだと思ってしっかり管理してほしい」(前出・事務局長)