ライフ

三浦春馬さん、ワクチンなど… なぜ人は「陰謀論」にハマるのか

三浦春馬さんの件でもデマが…(Imaginechina/時事通信フォト)

三浦春馬さんの件でもデマが…(Imaginechina/時事通信フォト)

 今年4月20日、芸能事務所アミューズの法務部がこんなツイートをした。〈当社及び当社所属アーティストに関し、ありもしないことをあたかも真実かのごとく詳述して名誉を毀損している者について、昨日、東京地方裁判所において法的措置を取りました〉。昨年7月に自殺した俳優の三浦春馬さんをめぐって、「実は他殺だった」とするデマが広がっており、それを拡散させている者に対し、事務所側は法的措置を取ったというのだ。

 オカルトニュースサイト『TOCANA』編集長の角由紀子氏はいきさつをこう語る。

「三浦さんの自殺があまりに突然で、信じられないという疑問を持ったファンたちがネットで様々な憶測を書き込んだのが発端です。『身長が高いのに、自分の身長より低いクローゼットで首を吊っている』『死亡確認から遺体が焼かれるまでの時間が短かった』『ラオスでの慈善事業でODAの闇に触れた』といった話が出ていて、今なお信じている人は多いです」

 40代女性はその現場に遭遇した。

「去年の話ですが、幼稚園のお迎えの帰りに公園に寄ったら、知り合いのママたちが集まって真剣な顔で話をしていて、私を除く3人は『三浦春馬の件、あれ絶対おかしいよ。何か事件に巻き込まれたんじゃないの?』と喋っていました。1人は夜中までスマホでその情報ばかり集めているそうで、『テレビも週刊誌もそれに触れないのは怪しい』と疑っていた」

“真実”が何者かの企みによって隠蔽されているとする「陰謀論」が、かつてない勢いで広がりを見せている。

 特に今は、“コロナの隠された真実”を謳う話が多く、「日本政府は五輪を開催するために、コロナ患者を少なく見せかけている」「コロナワクチンは高齢者を殺して人口を削減する手段」などさまざまある。何か証拠があって主張しているわけではないので、陰謀論に分類するほかない。

 拡散しているのは、一般の人々だけではない。

 福井県の自民党県連会長代行を務める斉藤新緑県議(64)は、今年2月、議会報告の冊子に「コロナワクチンは殺人兵器」「バイデンはこの世にいない」と記し、1万6000部を配布して問題になった。朝日新聞(4月30日付)の取材に対し、県議は「コロナのワクチンにはマイクロチップが入っていて、5G電波で操られる。打てば5年で死ぬ」「菅も麻生も逮捕された。今、表に出ているのはゴムマスクやクローンだ」と述べている。

 世間から“立派な仕事をしている”と見られる人物までもが、なぜこのような話を信じてしまうのか。『陰謀論の正体!』の著者で、ノンフィクション作家の田中聡氏はこう分析する。

「以前なら陰謀論の本を買わなければ触れられなかった情報が、ネットによって一般化したことと、コロナ禍でのステイホームでネット環境に触れる機会が増えたことが背景にあると思われます。ネットニュースは自分の関心ある情報が目につくよう設計されているため、なおさら一方向の情報ばかりが集まってくる。長引くコロナで生活が不安定になり、漠然とした不安感が広がっていることも原因でしょう」

関連記事

トピックス

遠野なぎこ(Instagramより)
《愛するネコは無事発見》遠野なぎこが明かしていた「冷房嫌い」 夏でもヒートテックで「眠っている間に脱水症状」も 【遺体の身元確認中】
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年6月4日、撮影/JMPA)
「佳子さまは大学院で学位取得」とブラジル大手通信社が“学歴デマ報道”  宮内庁は「全報道への対応は困難。訂正は求めていません」と回答
NEWSポストセブン
米田
「元祖二刀流」の米田哲也氏が大谷翔平の打撃を「乗っているよな」と評す 缶チューハイ万引き逮捕後初告白で「巨人に移籍していれば投手本塁打数は歴代1位だった」と語る
NEWSポストセブン
花田優一が語った福田典子アナへの“熱い愛”
《福田典子アナへの“熱い愛”を直撃》花田優一が語った新恋人との生活と再婚の可能性「お互いのリズムで足並みを揃えながら、寄り添って進んでいこうと思います」
週刊ポスト
麻辣湯を中心とした中国発の飲食チェーン『楊國福』で撮影された動画が物議を醸している(HP/Instagramより)
〈まさかスープに入れてないよね、、、〉人気の麻辣湯店『楊國福』で「厨房の床で牛骨叩き割り」動画が拡散、店舗オーナーが語った実情「当日、料理長がいなくて」
NEWSポストセブン
生成AIを用いた佳子さまの動画が拡散されている(時事通信フォト)
「佳子さまの水着姿」「佳子さまダンス」…拡散する生成AI“ディープフェイク”に宮内庁は「必要に応じて警察庁を始めとする関係省庁等と対応を行う」
NEWSポストセブン
まだ重要な問題が残されている(中居正広氏/時事通信フォト)
中居正広氏と被害女性Aさんの“事案後のメール”に「フジ幹部B氏」が繰り返し登場する動かぬ証拠 「業務の延長線上」だったのか、残された最後の問題
週刊ポスト
50歳で「アンパンマン」を描き始めたやなせたかし氏(時事通信フォト)
《巨大なアンパンマン経済圏》累計市場規模は約6.6兆円…! スパイダーマンやバットマンより稼ぎ出す背景に「ミュージアム」の存在
NEWSポストセブン
保護者を裏切った森山勇二容疑者
盗撮逮捕教師“リーダー格”森山勇二容疑者在籍の小学校は名古屋市内で有数の「性教育推進校」だった 外部の団体に委託して『思春期セミナー』を開催
週刊ポスト
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《ブログが主な収入源…》女優・遠野なぎこ、レギュラー番組“全滅”で悩んでいた「金銭苦」、1週間前に公表した「診断結果」「薬の処方」
NEWSポストセブン
ホストクラブや風俗店、飲食店のネオン看板がひしめく新宿歌舞伎町(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」のもとにやって来た相談者は「女風」のセラピスト》3か月でホストを諦めた男性に声を掛けた「紫色の靴を履いた男」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 万引き逮捕の350勝投手が独占懺悔告白ほか
「週刊ポスト」本日発売! 万引き逮捕の350勝投手が独占懺悔告白ほか
NEWSポストセブン