国際情報

音楽イベント規制に光明 英6万人ライブ実証実験でワクチン効果確認

摂取するとどう変わるのか…(写真/AFLO)

英国では実験的な試みも(写真/AFLO)

 海の向こうでは、すでに“元の生活”が戻ってきているようだ。日本でも、新型コロナウイルスのワクチン接種が進めば、さまざまなものが“解禁”されるのだろうか。まず、最も気になるのは、「マスクは外せるのか」だ。

 アメリカのバイデン大統領は「ワクチン接種を受けたらマスクをしないでいい。握手やハグだってできる」と発表。ニューヨークではマスクなしの日常を取り戻した。さらに韓国では、1回目の接種を受けただけでも、7月以降は屋外でのマスク着用義務が解除されるという。

 しかし、日本がマスクなしの日常に戻れるのはもう少し先だろうと医師は予測する。国際医療福祉大学病院内科学予防医学センターの一石英一郎さんはいう。

「厚生労働省のガイドラインでは、ワクチン接種後もマスク着用が推奨されています。ワクチンを打って免疫が完全に機能するまでは、ある程度時間がかかる。『ワクチンを打ったら、すぐにマスクを外していい』とするのは、かなりリスクが高いでしょう。

 ただ、気温が上がるにつれ、熱中症から身を守るという観点でも、屋外ではマスクをしなくてよくなるかもしれません。その後、感染者数が大幅に減っていけば、屋内でも美術館や映画館など、感染リスクが低い場所から、マスクを外せるようになる可能性があります」

 では、外食はどうか。飲食店の通常営業再開は、海外ではワクチン接種率がひとつの目安となっている。例えばイギリスでは、1回目の接種率が55%を超えた5月16日に、レストランやバー、パブの屋内営業が再開。5月末現在、成人人口の約50%が1回目の接種を終えたフランスは6月9日に店内での飲食が解禁される予定だ。ワクチン接種率50%というのは、飲食店の営業再開の世界的な基準のひとつになっているようだ。

「ただ、現在のペースだと、日本でワクチン接種率が50%を超えるのは、数年以上先。日本では、65才以上の1回目の接種率が50%を超えて、感染者や重症患者が大幅に減ることが、現実的な方向性ではないでしょうか。といっても、現在のペースでいくと約6か月先になるのですが……」(一石さん)

 コンサートなどの大規模なイベントはどうか。多くの人が集まって密着し、飛沫感染リスクもある音楽イベントは、厳しく規制されてきた。

 この現状を打開したのがイギリスだ。5月26日、政府の許可のもと、ワクチン接種済みの観客6万人を集め、マスクなしでのロックコンサートを実施した。実はこのコンサートは、ワクチンの効果を確かめるための実証実験。ライブ後に調査した結果、参加した人の99.9%以上がコロナ陰性となり、ワクチンの効果が認められる結果となった。

「現在、日本でコンサートを行う場合、座席間隔を空ける必要があったり、声援を送れないなど多くの規制があります。イギリスの実験結果をもとに、規制緩和が進むかもしれません」(一石さん)

関連キーワード

関連記事

トピックス

今季から選手活動を休止することを発表したカーリング女子の本橋麻里(Xより)
《日本が変わってきてますね》ロコ・ソラーレ本橋麻里氏がSNSで参院選投票を促す理由 講演する機会が増えて…支持政党を「推し」と呼ぶ若者にも見解
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《女性を家に連れ込むのが得意》座間9人殺害・白石死刑囚が明かしていた「金を奪って強引な性行為をしてから殺害」のスリル…あまりにも身勝手な主張【死刑執行】
NEWSポストセブン
失言後に記者会見を開いた自民党の鶴保庸介氏(時事通信フォト)
「運のいいことに…」「卒業証書チラ見せ」…失言や騒動で謝罪した政治家たちの実例に学ぶ“やっちゃいけない謝り方”
NEWSポストセブン
球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン