任意売却は「早めに決断したほうがいい」理由
収入が回復せずに、正常な返済への回復見通しがない場合はどうなるのか。そういう時には、担保となった住宅を売却してローンを精算する手段を選ばざるを得ない。
この売却精算を裁判を通じて強制的に行うのが「競売」。返済者の意思を尊重しながら通常のスタイルで行うのが「任意売却」である。
任意売却で市場に売り出されるマンション等は、今後かなり多くなってくるだろう。それは相談件数の急増からも容易に想像できる。
今、住宅ローンの返済猶予を受けていて、収入の回復見込みが薄い場合は早めの任意売却をお勧めしたい。その理由は、任意売却物件が急増すると、市場価格が大きく下落してしまう可能性があるからだ。
マンションなどの住宅も、市場価格は需要と供給の関係で決まる。売却物件が多くなれば、それは市場への下落圧力となるのだ。
購入価格4000万~7000万円の住宅で任意売却が増える
特に、世帯年収が1000万円未満の中堅所得者が需要層の中心となっている準郊外から郊外にかけての、4000万円から7000万円あたりの価格で購入された住宅では、今後任意売却物件が増えるはずだ。湾岸のタワマンとて、この価格帯に入れば例外ではなくなる。
任意売却が通常の売却と異なるのは、必ず一定期間内に売買を成立させなければならないところだ。つまり、期限が近付けば買い手が付くレベルまで価格を下げる必要が生じる。こうして値下げされた価格で取引が成立すれば、それが市場相場となる。
今のところ、市場では任意売却物件の存在は目立っていない。しかし、今後は任売物件が急増して、市場に強烈な下落要因をもたらす可能性は高い。