芸能

春風亭ぴっかり☆ 真打昇進後の武器『お見立て』のリアルな花魁

来年3月に真打ち昇進が決まった春風亭ぴっかり☆(イラスト/三遊亭兼好)

春風亭ぴっかり☆の魅力は?(イラスト/三遊亭兼好)

 音楽誌『BURRN!』編集長の広瀬和生氏は、1970年代からの落語ファンで、ほぼ毎日ナマの高座に接してきた。広瀬氏の週刊ポスト連載「落語の目利き」より、来年3月に真打ち昇進が決まった春風亭ぴっかり☆についてお届けする。

 * * *
 春風亭ぴっかり☆が来年3月に真打昇進することが決まった。落語協会が5月1日に正式発表したもので、三遊亭美るく、鈴々舎八ゑ馬、林家はな平と同時の昇進となる。

 キュートなルックスでアイドル的な人気が出たことが却って正当な評価を妨げているきらいがあるが、近年のぴっかり☆の成長ぶりは著しい。明るく楽しい高座が本来の持ち味だが、昨年末に聴いた大ネタ人情噺『たちきり』も見事で、若旦那が小久の位牌と対面する場面では女性演者である強みが芸者置屋の女将の台詞の説得力に結びつき、若旦那の純粋さを表現する真っ直ぐな演技と相まって、大いに引き込まれた。

 なかの芸能小劇場で4月26日に開かれた独演会「ぴっかり☆春一番!」では『任侠流山動物園』と『お見立て』の2席を観た。『任侠流山動物園』は三遊亭白鳥作。渡世ブタの豚次が男を磨く「流れの豚次伝」シリーズ全10話の原点となった噺で、ぴっかり☆が無類の任侠映画好きだと知った白鳥に勧められて持ちネタにしたのだという。

 さびれた流山動物園に客を呼ぶため豚次はかつて世話になった上野動物園の親分、パンダのパン太郎に力を貸してほしいと頼むが、トラに尻の肉を食いちぎられた挙句に放り出される。そこで豚次は園長に相談、牛の牛太郎、ニワトリのチャボ子と共に人間の言葉を覚えると、これが大人気。

 客を取られた恨みでパン太郎親分がトラと共に殴り込みをかけてくるのがクライマックスで、白鳥の原作ではここでゴリ長一家で大政と呼ばれて恐れられたアフリカ象の政五郎が立ち上がるが、緋牡丹博徒シリーズをこよなく愛するぴっかり☆はこれをメス象の“緋牡丹のお政”に変えて演じている。

関連キーワード

関連記事

トピックス

小林ひとみ
結婚したのは“事務所の社長”…元セクシー女優・小林ひとみ(62)が直面した“2児の子育て”と“実際の収入”「背に腹は代えられない」仕事と育児を両立した“怒涛の日々” 
NEWSポストセブン
松田聖子のものまねタレント・Seiko
《ステージ4の大腸がん公表》松田聖子のものまねタレント・Seikoが語った「“余命3か月”を過ぎた現在」…「子供がいたらどんなに良かっただろう」と語る“真意”
NEWSポストセブン
今年5月に芸能界を引退した西内まりや
《西内まりやの意外な現在…》芸能界引退に姉の裁判は「関係なかったのに」と惜しむ声 全SNS削除も、年内に目撃されていた「ファッションイベントでの姿」
NEWSポストセブン
(EPA=時事)
《2025の秋篠宮家・佳子さまは“ビジュ重視”》「クッキリ服」「寝顔騒動」…SNSの中心にいつづけた1年間 紀子さまが望む「彼女らしい生き方」とは
NEWSポストセブン
イギリス出身のお騒がせ女性インフルエンサーであるボニー・ブルー(AFP=時事)
《大胆オフショルの金髪美女が小瓶に唾液をたらり…》世界的お騒がせインフルエンサー(26)が来日する可能性は? ついに編み出した“遠隔ファンサ”の手法
NEWSポストセブン
日本各地に残る性器を祀る祭りを巡っている
《セクハラや研究能力の限界を感じたことも…》“性器崇拝” の“奇祭”を60回以上巡った女性研究者が「沼」に再び引きずり込まれるまで
NEWSポストセブン
初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ手配犯・八田與一の母を直撃》「警察にはもう話したので…」“アクセルベタ踏み”で2人死傷から3年半、“女手ひとつで一生懸命育てた実母”が記者に語ったこと
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン