珍しく「精神的にしんどい」主演作
5日放送の『人生最高レストラン』(TBS系)に出演したとき、わざと下手に演じてリアリティを醸し出したエピソードを加藤浩次さんから絶賛された二朗さんは、「僕は正直に言いますけど、自分の力には自信がございます」と自負を隠しませんでした。その直後に「こと俳優に関してはですよ。あとは精神年齢8歳ですけど」と笑わせるのも忘れないところも含めて、現在のポジションを実力と人柄でつかみ取ってきたことをうかがわせます。
『ひきこもり先生』は、そんな二朗さんが珍しく「精神的にしんどかった」と弱音のような言葉を漏らした作品。「いまだに『引きこもりは甘えじゃないか』という声があると思うんですけど、一番苦しんでいるのは本人で、二番目に苦しんでいるのは家族や周りの人だから、そこは覆していきたい」と力を込めていただけに、本気の演技が見られるでしょう。
余談ですが、12日の『99人の壁』に私もチャレンジャーの1人として出演させてもらい、MCの二朗さんと1対1で向き合う機会を得られました。二朗さんは収録中、出演作から、こよなく愛する東京・高円寺の話まで、さまざまな話を気さくにしてくれた上に、最後は「また来てください」と会釈をしてくれたのです。
俳優として演じることはもちろん、脚本・演出を手掛けることも、MCとして出演者をもてなすこともできる。さらに言えば、仲間たちと熱く語り、世話をすることもできる。やはりスーパーマンのような人であり、だからこそ山田孝之さん、向井理さん、安田顕さん、長澤まさみさんら後輩俳優たちは二朗さんを慕い、お酒を酌み交わしているのでしょう。
【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月30本前後のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などの批評番組に出演し、番組への情報提供も行っている。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。