国内

ワクチン接種直後196人死亡、「打つべき人」と「打たないほうがいい人」

客室乗務員らへの「職域接種」が始まった(時事通信フォト)

客室乗務員らへの「職域接種」が始まった(時事通信フォト)

 7万2000人に1人──その数を多いと感じるか、少なく感じるかは人それぞれだが、これが新型コロナウイルスワクチン接種後に亡くなった人の割合である。ワクチン接種が前倒しスケジュールで進む中、いま一度、「メリット」と「リスク」を考えるべきときだ。

 新型コロナウイルスのワクチン接種が加速し、「1回目」を終えた65才以上の高齢者は3割に達した。東京と大阪の大規模接種会場では予約の空きが目立つようになり、6月17日から18~64才への接種が始まる。また、これから先、各市区町村でも各自の裁量で64才以下の接種が始まっていく。

 たとえば若年層の感染者が多い東京・新宿区は20~30代の予約を優先する。沖縄や奈良など観光が盛んな地方では、宿泊業や飲食店の従業員を優先する動きがある。小池百合子東京都知事は「暮らしに直結するエッセンシャルワーカーにいち早く接種させていただく」との方針を打ち出した。

 だが、国際医療福祉大学病院内科学予防医学センター教授の一石英一郎さんは、「年齢」や「職業」による優先順位の割り振りに異を唱える。

「重要なのは、年齢や職業をひとまとめにして優先順位を決めるのではなく、個々の持病や副反応を考慮して、接種を判断することです。

 ワクチン接種は個人の状況に応じた『メリット』と『リスク』があります。仮にワクチンを打たずコロナに感染するとして、自分は重症化したり死んでしまう可能性が高いと判断するなら、多少の副反応のリスクがあっても、接種して感染をできるだけ避けるというメリットを選ぶことが賢明です。

 一方で、ワクチンを打つことで命にかかわる副反応が生じるリスクがあると予測できれば、接種しないという選択肢が出てくる。そうした可能性を突き詰めて、“長所が短所を上回るかどうか”をしっかり見極める必要があります」(一石さん)

 ワクチンを打つべきか、打たざるべきか──その境目はどこにあるのか。厚生労働省が優先接種の対象として指定するのが「基礎疾患」を持つ人だ。

 厚労省のリストでは、「慢性の呼吸器の病気」「慢性の心臓病・腎臓病・肝臓病」「血液の病気」「睡眠時無呼吸症候群」など15項目の基礎疾患が指定されている。血液内科医の中村幸嗣さんが指摘する。

「たとえばヘビースモーカーで咳が頻繁に出る人は、COPD(慢性閉塞性肺疾患)という慢性の呼吸器の病気が疑われます。肝機能を示すγ-GTPの数値が悪ければ、アルコール性肝炎や慢性肝炎に該当する可能性があります。いびきがひどい人が受診すれば、睡眠時無呼吸症候群と診断されて、地域によっては優先接種の対象になるかもしれません」

 医療ガバナンス研究所理事長で内科医の上昌広さんが「優先接種すべき」と指摘するのは次のような人たちだ。

「ワクチンを早めに打つべきなのは、コロナに感染すると重症化しやすいと考えられる人です。たとえば免疫不全の人がコロナにかかると免疫が働かずに重症化しやすいし、糖尿病や肥満なども血管がもろくなっていて、ひとたび感染したときの危険性が高くなる。コロナは一律に重症化したり、死亡したりする病気ではないので、重症化するリスクが高い人ほど早めに接種した方がいい」

関連記事

トピックス

結婚へと大きく前進していることが明らかになった堂本光一
《堂本光一と結婚秒読み》女優・佐藤めぐみが芸能界「完全引退」は二宮和也のケースと酷似…ファンが察知していた“予兆”
NEWSポストセブン
売春防止法違反(管理売春)の疑いで逮捕された池袋のガールズバーに勤める田野和彩容疑者(21)
《GPS持たせ3か月で400人と売春強要》「店ナンバーワンのモテ店員だった」美人マネージャー・田野和彩容疑者と鬼畜店長・鈴木麻央耶容疑者の正体
NEWSポストセブン
日本サッカー協会の影山雅永元技術委員長が飛行機でわいせつな画像を見ていたとして現地で拘束された(共同通信)
「脚を広げた女性の画像など1621枚」機内で児童ポルノ閲覧で有罪判決…日本サッカー協会・影山雅永元技術委員長に現地で「日本人はやっぱロリコンか」の声
NEWSポストセブン
三笠宮家を継ぐことが決まった彬子さま(写真/共同通信社)
三笠宮家の新当主、彬子さまがエッセイで匂わせた母・信子さまとの“距離感” 公の場では顔も合わさず、言葉を交わす場面も目撃されていない母娘関係
週刊ポスト
阿部慎之助監督(左)が前田健太(時事通信フォト)の獲得に動いているとも
《阿部巨人の「大補強構想」》前田健太、柳裕也、則本昂大、辰己涼介、近本光司らの名前が浮上も、球団OBは「今はそんなブランド力はない」と嘆き節
週刊ポスト
松田烈被告
「テレビ通話をつなげて…」性的暴行を“実行役”に指示した松田烈被告(27)、元交際相手への卑劣すぎる一連の犯行内容「下水の点検を装って侵入」【初公判】
NEWSポストセブン
鮮やかなロイヤルブルーのワンピースで登場された佳子さま(写真/共同通信社)
佳子さま、国スポ閉会式での「クッキリ服」 皇室のドレスコードでは、どう位置づけられるのか? 皇室解説者は「ご自身がお考えになって選ばれたと思います」と分析
週刊ポスト
Aさんの左手に彫られたタトゥー。
《10歳女児の身体中に刺青が…》「14歳の女子中学生に彫られた」ある児童養護施設で起きた“子供同士のトラブル” 職員は気づかず2ヶ月放置か
NEWSポストセブン
知床半島でヒグマが大量出没(時事通信フォト)
《現地ルポ》知床半島でヒグマを駆除するレンジャーたちが見た「壮絶現場」 市街地各所に大量出没、1年に185頭を処分…「人間の世界がクマに制圧されかけている」
週刊ポスト
お騒がせインフルエンサーのボニー・ブルー(インスタグラムより)
「バスの車体が不自然に揺れ続ける」“タダで行為できます”金髪美女インフルエンサー(26)が乱倫バスツアーにかけた巨額の費用「価値は十分あった」
NEWSポストセブン
イベント出演辞退を連発している米倉涼子。
《長引く捜査》「ネットドラマでさえ扱いに困る」“マトリガサ入れ報道”米倉涼子はこの先どうなる? 元東京地検公安部長が指摘する「宙ぶらりんがずっと続く可能性」
韓国の人気女性ライバー(24)が50代男性のファンから殺害される事件が起きた(Instagramより)
「車に強引に引きずり込んで…」「遺体には多数のアザと首を絞められた痕」韓国・人気女性ライバー(24)殺害、50代男性“VIPファン”による配信30分後の凶行
NEWSポストセブン