秋篠宮家(写真/宮内庁提供)
将来、愛子内親王が天皇となることを想定した内容だった。皇室ジャーナリストの神田秀一氏が語る。
「当時の皇位継承者は皇太子(現天皇)、秋篠宮、常陸宮の3人だけで、次の世代にも眞子さま、佳子さま、愛子さまという内親王しかいなかったとはいえ、女系天皇まで踏み込んだ議論には皇室も驚いたのでは。
しかし翌年、秋篠宮家に男系男子の悠仁親王が誕生したことで皇室典範改正案は国会に提出されなかった」
この典範改正見送りで、将来の皇位は愛子内親王ではなく、悠仁親王が継承することになった。
次の議論は2011年、女性皇族が結婚適齢期に近づいていることから、野田内閣は「皇室制度に関する有識者ヒアリング」を設置して女性皇族の婚姻による皇族数の減少と皇室活動の安定的維持について論点整理した。
そのなかで、女性皇族が結婚後も皇族の身分を保持する「女性宮家」創設案が示された。そこでは、女性皇族だけが1代限りで結婚後も皇族に残る案と、女性皇族の配偶者と子(皇位継承資格なし。婚姻時に皇籍離脱)まで皇族身分にする案が併記された。
「法案はまとまらず、結論が出ないまま女性宮家や女性天皇・女系天皇反対の安倍政権に交代したことで議論は下火となり、その後、女性宮家の議論は菅内閣まで事実上封印されてきた」(神田氏)
愛子内親王が将来、皇族に残るのかどうか。その立場は女性宮家創設に結論を出せない政治の優柔不断に翻弄されてきたと言っていい。
それが適齢期が近づいた今になって、政府内でまた「女性宮家」創設が浮上してきたことに、天皇、皇后が一人娘の将来を心配するのは無理からぬことだろう。
秋篠宮家も「女性宮家」創設を素直に喜べない立場だ。将来、悠仁親王の代になったとき、姉の眞子、佳子両内親王や従姉妹の愛子内親王が結婚して皇籍離脱していれば、天皇家を支える皇族はほとんどいなくなる。そのため、秋篠宮家は悠仁親王を支える「女性宮家」の創設に前向きとみられてきた。