ライフ

鎌田實医師、心房細動の治療で入院 絶対安静のベッドで考えたこと

諏訪中央病院名誉院長の鎌田實医師

諏訪中央病院名誉院長の鎌田實医師

 身動きがとれない患者になってみて、初めて知り、感じられることがある。心房細動の治療で入院した、諏訪中央病院名誉院長の鎌田實医師が、「生」や「死」について思いを巡らせた時間を振り返った。

 * * *
「虎は死して皮を残し、人は死して名を残す。保険に入っていれば金を残す」と言ったのは吉行淳之介。ぼくはロクに保険も入っていないから、大した金も残せないな、とふと思った。

 6月上旬、心臓のカテーテルアブレーションという治療のため、4日間入院した。「生」や「死」について思いを巡らす時間はたくさんあった。

 数年前から心房細動の発作が起こっていた。心房細動は不整脈の一つ。2010年のデータでは、日本の心房細動の患者は約80万人。今は100万人近くいるのではないかと推測されている。一生の間に3人に1人が心房細動を経験すると言われている。

 ぼくの場合、突然、動悸が速くなり、それが2時間ほど続く。とても気持ちが悪いが、慣れればこんなものか、とも思う。イラクの難民キャンプに診察に行く途中、トランジットのイスタンブールで、発作性心房細動に見舞われたこともある。機内で眠れなかったことや疲労、ストレスなどが関係していたようだ。

ぼくの背中を押した主治医の言葉

 心房細動でいちばん注意しなければいけないのは、脳梗塞のリスクが高まることだ。心房細動が起こると心房に血液が溜まって血栓ができ、それが心臓から流されて脳に行くと、血管を詰まらせる。

 2004年、長嶋茂雄さんは、おそらくこの心房細動から脳の左側の広範囲の梗塞を起こし、右不全麻痺と失語症を起こした。80歳で3度目のエベレスト登頂に成功した三浦雄一郎さんも、サッカー日本代表のオシム監督も心房細動から脳梗塞になりかかったが、後遺症は残らずに済んだといわれる。

 諏訪中央病院の循環器医と相談し、不整脈を抑える薬や血栓をできにくくする薬をしばらく飲んでいたが、ついにカテーテルアブレーションをすすめられた。

「これからも、日本中だけでなく世界中飛び回るためには、心房細動を抑える治療をしておきましょう」

「最後までピンピン生きる」を目指しているぼくは、その言葉で、治療を決意した。

関連キーワード

関連記事

トピックス

各地でクマの被害が相次いでいる(左/時事通信フォト)
《空腹でもないのに、ただただ人を襲い続けた》“モンスターベア”は捕獲して山へ帰してもまた戻ってくる…止めどない「熊害」の恐怖「顔面の半分を潰され、片目がボロり」
NEWSポストセブン
カニエの元妻で実業家のキム・カーダシアン(EPA=時事)
《金ピカパンツで空港に到着》カニエ・ウエストの妻が「ファッションを超える」アパレルブランド設立、現地報道は「元妻の“攻めすぎ下着”に勝負を挑む可能性」を示唆
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さんの胸キュンワンシーンが話題に(共同通信社)
《真美子さんがウインク》大谷翔平が参加した優勝パレード、舞台裏でカメラマンが目撃していた「仲良し夫婦」のキュンキュンやりとり
NEWSポストセブン
兵庫県宝塚市で親族4人がボーガンで殺傷された事件の発生時、現場周辺は騒然とした(共同通信)
「子どもの頃は1人だった…」「嫌いなのは母」クロスボウ家族殺害の野津英滉被告(28)が心理検査で見せた“家族への執着”、被害者の弟に漏らした「悪かった」の言葉
NEWSポストセブン
理論派として評価されていた桑田真澄二軍監督
《巨人・桑田真澄二軍監督“追放”のなぜ》阿部監督ラストイヤーに“次期監督候補”が退団する「複雑なチーム内力学」 ポスト阿部候補は原辰徳氏、高橋由伸氏、松井秀喜氏の3人に絞られる
週刊ポスト
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
“最もクレイジーな乱倫パーティー”を予告した金髪美女インフルエンサー(26)が「卒業旅行中の18歳以上の青少年」を狙いオーストラリアに再上陸か
NEWSポストセブン
大谷翔平選手と妻・真美子さん
「娘さんの足が元気に動いていたの!」大谷翔平・真美子さんファミリーの姿をスタジアムで目撃したファンが「2人ともとても機嫌が良くて…」と明かす
NEWSポストセブン
メキシコの有名美女インフルエンサーが殺人などの罪で起訴された(Instagramより)
《麻薬カルテルの縄張り争いで婚約者を銃殺か》メキシコの有名美女インフルエンサーを米当局が第一級殺人などの罪で起訴、事件現場で「迷彩服を着て何発も発砲し…」
NEWSポストセブン
「手話のまち 東京国際ろう芸術祭」に出席された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年11月6日、撮影/JMPA)
「耳の先まで美しい」佳子さま、アースカラーのブラウンジャケットにブルーのワンピ 耳に光るのは「金継ぎ」のイヤリング
NEWSポストセブン
逮捕された鈴木沙月容疑者
「もうげんかい、ごめんね弱くて」生後3か月の娘を浴槽内でメッタ刺し…“車椅子インフルエンサー”(28)犯行自白2時間前のインスタ投稿「もうSNSは続けることはないかな」
NEWSポストセブン
滋賀県草津市で開催された全国障害者スポーツ大会を訪れた秋篠宮家の次女・佳子さま(共同通信社)
《“透け感ワンピース”は6万9300円》佳子さま着用のミントグリーンの1着に注目集まる 識者は「皇室にコーディネーターのような存在がいるかどうかは分かりません」と解説
NEWSポストセブン
真美子さんのバッグに付けられていたマスコットが話題に(左・中央/時事通信フォト、右・Instagramより)
《大谷翔平の隣で真美子さんが“推し活”か》バッグにぶら下がっていたのは「BTS・Vの大きなぬいぐるみ」か…夫は「3か月前にツーショット」
NEWSポストセブン