aa

2008年公開の『劇場版 仮面ライダーキバ 魔界城の王』製作発表会見。瀬戸康史(前列右から3番目)は当時20才(撮影/女性セブン写真部)

『電王』は、気弱な青年が変身することによって人格が変わるという設定だったが、オーディション時の佐藤には、そのことは伝えていなかった。

「A4サイズの台本1ページ分のせりふを、何も説明せずに読んでもらうと、人格が途中で変わるという難しいせりふ回しを、彼は見事に演じ分けました。その姿もイキイキしていて、満場一致で決まりました」

 佐藤のように一発合格のライダーもいれば、何度もチャレンジした上で役を勝ち取る俳優もいる。2001年『仮面ライダーアギト』から仮面ライダーシリーズの監督を務めている田﨑竜太さんは、こう話す。

「何度受けても、その人とキャラクターが合わなければ合格には至りませんが、受け続けていれば、ぴったりくる役が巡ってきて、主役に起用されることもあります」(田﨑さん)

 途中から登場するキャラクターは、主演俳優の事務所の紹介で決まることもある。『仮面ライダー555』で敵役を演じた綾野剛がそうだ。

「綾野さんは当時、前年の『仮面ライダー龍騎』の主役、須賀貴匡さんのマネジャーさんが面倒を見ていて、『こんな子がいるけど、どう?』と、紹介してもらいました。

 ちょうど物語の後半に出てくる澤田亜希という敵役を探していたので、彼なら雰囲気に合うと思って起用しました」(武部さん・以下同)

 オーディションを勝ち抜くのに不可欠な要素はあるのだろうか?

「強いていえば、品位でしょうか。劇中では、よく対立シーンが描かれるのですが、そのときに柄が悪く見えてしまっては、ヒーローにはふさわしくない。たとえ怒っていても、どこかかわいげのある人柄がいいんです」

 ただ、仮面ライダーに起用されたからといって、第二の佐藤健や菅田将暉、吉沢亮が約束されているわけではない。

「確かに仮面ライダーを卒業したOBの中には、連続ドラマや映画で主演し、華々しく活躍している人がたくさんいます。でも彼らだって、仮面ライダーが終わった後、すぐに活躍できたわけではなく、紆余曲折を経て、いまの地位についている。成功しているのは、彼らのたゆまぬ努力があるからです」

 巣立っていく俳優たちのその後の活躍を見守り、応援するのもまた、仮面ライダーを見る楽しみのひとつなのだ。

取材・文/廉屋友美乃 取材協力/前川亜紀

※女性セブン2021年7月29日・8月5日号

関連記事

トピックス

事実上の戦力外となった前田健太(時事通信フォト)
《あなたとの旅はエキサイティングだった》戦力外の前田健太投手、元女性アナの年上妻と別居生活 すでに帰国の「惜別SNS英文」の意味深
NEWSポストセブン
1992年にデビューし、アイドルグループ「みるく」のメンバーとして活躍したそめやゆきこさん
《熱湯風呂に9回入湯》元アイドル・そめやゆきこ「初海外の現地でセクシー写真集を撮ると言われて…」両親に勘当され抱え続けた“トラウマ”の過去
NEWSポストセブン
笑顔に隠されたムキムキ女将の知られざる過去とは…
《老舗かまぼこ屋のムキムキ女将》「銭湯ではタオルで身体を隠しちゃう」一心不乱に突き進む“筋肉道”の苦悩と葛藤、1度だけ号泣した過酷減量
NEWSポストセブン
左:激太り後の水原被告、右:
【激太りの近況】水原一平氏が収監延期で滞在続ける「家賃2400ドル新居」での“優雅な生活”「テスラに乗り、2匹の愛犬とともに」
NEWSポストセブン
折田楓氏(本人のinstagramより)
「身内にゆるいねアンタら、大変なことになるよ!」 斎藤元彦兵庫県知事と「merchu」折田楓社長の“関係”が県議会委員会で物議《県知事らによる“企業表彰”を受賞》
NEWSポストセブン
“ボディビルダー”というもう一つの顔を持つ
《かまぼこ屋の若女将がエプロン脱いだらムキムキ》体重24キロ増減、“筋肉美”を求めて1年でボディビル大会入賞「きっかけは夫の一声でした」
NEWSポストセブン
チームを引っ張るドミニカ人留学生のエミールとユニオール(筆者撮影、以下同)
春の栃木大会「幸福の科学学園」がベスト8入り 元中日監督・森繁和氏の計らいで来日したドミニカ出身部員は「もともとクリスチャンだが幸福の科学のことも学んでいる」と語る
NEWSポストセブン
横山剣(右)と岩崎宏美の「昭和歌謡イイネ!」対談
【横山剣「昭和歌謡イイネ!」対談】岩崎宏美が語る『スター誕生!』秘話 毎週500人が参加したオーディション、トレードマークの「おかっぱ」を生んだディレクターの“暴言”
週刊ポスト
”乱闘騒ぎ”に巻き込まれたアイドルグループ「≠ME(ノットイコールミー)」(取材者提供)
《現場に現れた“謎のパーカー集団”》『≠ME』イベントの“暴力沙汰”をファンが目撃「計画的で、手慣れた様子」「抽選箱を地面に叩きつけ…」トラブル一部始終
NEWSポストセブン
母・佳代さんのエッセイ本を絶賛した小室圭さん
小室圭さん “トランプショック”による多忙で「眞子さんとの日本帰国」はどうなる? 最愛の母・佳代さんと会うチャンスが…
NEWSポストセブン
春の雅楽演奏会を鑑賞された愛子さま(2025年4月27日、撮影/JMPA)
《雅楽演奏会をご鑑賞》愛子さま、春の訪れを感じさせる装い 母・雅子さまと同じ「光沢×ピンク」コーデ
NEWSポストセブン
自宅で
中山美穂はなぜ「月9」で大記録を打ち立てることができたのか 最高視聴率25%、オリコン30万枚以上を3回達成した「唯一の女優」
NEWSポストセブン