ライフ

SNSに飛び交うワクチンのデマ マルチ商法への入口に利用されることも

ワクチン接種は親戚一同「待望」だった(イメージ、AFP=時事)

ワクチン接種は親戚一同「待望」だった(イメージ、AFP=時事)

 いつの時代にも流言飛語というものは存在し、世が災害に見舞われたとき、社会が不安定になっているときは飛び交いやすいものだ。では、その嘘やデマを発信する人は、ただ人々を混乱させて面白がるためだけに拡散しているのか? ライターの森鷹久氏が、コロナワクチンに関するデマをめぐって同時多発的に起きている、セミナーに集う人たちとその背景についてレポートする。

 * * *
 SNSには「コロナは単なる風邪」「ワクチンは信用できない」といった書き込みが散見され、ターミナル駅前で大騒ぎして、訴える行動にうつる迷惑この上ないグループもある。わずか2年前には想像すらできなかった荒唐無稽に思えるこの現象は、日本だけでなく世界中で起きており、各国の政府や関係当局、そしてメディアがワクチンを巡るデマに惑わされないよう様々な対策を取っている。河野太郎ワクチン担当大臣が各局のニュースに出演し、デマに惑わされないようにと力説する姿も記憶に新しいところだ。だが、事態は思った以上に早く進行し、すでに「実害」が出始めている。

「これまでネットを使ったことがほとんどなかった姉が、コロナ禍以降、SNSにはまって大変です。コロナ感染そのものは怖がっているのですが、ワクチンは怪しいと言って、接種券が届いても拒否するといってきかない」

 西日本在住の自営業・富田康介さん(仮名・40代)が悩んでいるのは、姉(40代)が最近、いわゆる「反ワクチン」の人々に取り込まれ、効果が不明な健康食品などを買ってくるようになったことについてだ。実は昨年、富田さんの家族に感染者が出たことで親族一同、感染には十分すぎるほど注意していたといい、ワクチンについても「待ち侘びていた」というほど。しかし姉だけが、ワクチンを打ちたがらない。

「姉は、イスラエルなど先行してワクチンが接種された地域で死者が続出している、と私に説明しましたが、そんなニュースはどこを探してもなく、むしろ死者は増えていない、というニュースならあるんです。どこで知ったのかと問うと、姉が知人に勧められて始めたフェイスブック上の書き込みでした」(富田さん)

 その書き込みをしていたアカウントは、九州地方在住の男性のもの。どんな人なのかとプロフィールを見ても、居住地以外の情報は見当たらない。自身の基本情報をシンプルにしている人は、SNSに登録だけしてあまりアクティブではないことも多いが、この男性は日々「ワクチン」に対するネガ情報を投稿している。そして、投稿ごとに男性の知人、男性の投稿に肯定的な人のコメントだけが、続々と寄せられていた。

 これほど熱心なら、SNSのプロフィールにわざわざ記さないだけで、かの分野に明るい専門家ではないかと、男性の名前を厚生労働省の医師検索ページなどを用いて調べたが、医師や薬剤師など医療の専門家である可能性は低いという結果しか得られなかった。顔写真は確認できたが、いったいどこの誰なのか、まったくわからない、日焼け顔の中肉中背の男。

関連記事

トピックス

女性皇族の健全な未来は開かれれるのか(JMPA)
愛子さま、佳子さま“結婚後も皇族としての身分保持”案の高いハードル 配偶者や子供も“皇族並みの行動制限”、事実上“女性皇族に未婚を強制”という事態は不可避
女性セブン
車から降りる氷川きよし(2025年2月)
《デビュー25周年》氷川きよし、“名前が使えない”騒動を乗り越えて「第2章のスタート」 SMAPゆかりの店で決起集会を開催
女性セブン
第7回公判では田村瑠奈被告の意外なスキルが明かされた(右・HPより)
《モンスターに老人や美女も…》田村瑠奈被告、コンテストに出品していた複数の作品「色使いが独特」「おどろおどろしい」【ススキノ首切断事件裁判】
NEWSポストセブン
大きな“難題”に直面している巨人の阿部慎之助・監督(時事通信フォト)
【70億円補強の巨人・激しいポジション争い】「レフト岡本」で外野のレギュラー候補は9人、丸が控えに回る可能性 捕手も飽和状態、小林誠司は出番激減か
週刊ポスト
『なぎチャイルドホーム』の外観
《驚異の出生率2.95》岡山の小さな町で次々と子どもが産まれる秘密 経済支援だけではない「究極の少子化対策」とは
NEWSポストセブン
出廷した水原一平被告(共同通信フォト)
【独自】《水原一平、約26億円の賠償金支払いが確定へ》「大谷翔平への支払いが終わるまで、我々はあらゆる手段をとる」連邦検事局の広報官が断言
NEWSポストセブン
10月1日、ススキノ事件の第4回公判が行われた
《お嬢さんの作品をご覧ください》戦慄のビデオ撮影で交わされたメッセージ、田村浩子被告が恐れた娘・瑠奈被告の“LINEチェック”「送った内容が間違いないかと…」【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
中居の恋人のMさん(2025年1月)
《ダンサー恋人が同棲状態で支える日々》中居正広、引退後の暮らし 明かしていた地元への思い、湘南エリアのマンションを購入か 
女性セブン
大木滉斗容疑者(共同通信)
《バラバラ遺棄後に50万円引き出し》「大阪のトップ高校代表で研究成果を発表」“秀才だった”大木滉斗(28)容疑者が陥った“借金地獄”疑惑「債権回収会社が何度も…」
NEWSポストセブン
2月5日、小島瑠璃子(31)が自身のインスタグラムを更新し、夫の死を伝えた(時事通信フォト)
小島瑠璃子(31)夫の訃報前に“母子2人きり帰省”の目撃談「ここ最近は赤ちゃんを連れて一人で…」「以前は夫婦揃って頻繁に帰省していた」
NEWSポストセブン
ファンから心配の声が相次ぐジャスティン・ビーバー(Xより)
《ジャスティン・ビーバー(30)衝撃の激変》「まるで40代」「彼からのSOSでは」“地獄の性的パーティー”で逮捕の大物プロデューサーが引き金か
NEWSポストセブン
2月4日、小島瑠璃子の夫で実業家の小島功太さんが自宅マンションの一室で亡くなった。
《実業家の夫が緊急搬送され死亡》小島瑠璃子、周囲に「芸能の仕事はしていない。いまは会社員として働いている」と説明していた 育児・夫・自分の仕事…抱えていた悩み
女性セブン