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3500万人を襲う首都直下地震のメカニズムと「地形上の必然」

首都圏の地下では3つのプレートが交錯し、大地震の震源となる可能性が…

首都圏の地下では3つのプレートが交錯し、大地震の震源となる可能性が…

 近い将来、発生する可能性が指摘されている「首都直下地震」。首都圏は3500万人が生活する人口過密地域だが、地下では3つのプレートが交錯し、大地震の震源となる可能性を秘めているのだ。東京大学地震研究所の古村孝志教授が指摘する。

「南関東は、フィリピン海プレートが北米プレートの下に沈み込み、さらに東側から太平洋プレートが沈み込んでいる複雑な領域です。内閣府の中央防災会議では、首都圏に大きな被害を与える可能性の高い19ケースのM7級地震を想定し、被害を評価しています」

 大地震のリスクが高い地域に多くの人口が集まったのは偶然ではない。

「関東平野は、平らで川も流れていて農業ができるので生活しやすい。それで多くの人が定住した一方、地盤が柔らかくて強い揺れが起きやすい地域でもあります。プレートの密集地域に3500万人もの人が住む地域は世界的にも稀ですが、それだけに十分な対策を立てる必要があります」(古村教授)

緊急地震速報は鳴らない

 近年は緊急地震速報が発達し、「揺れる直前に警報が鳴るから大丈夫」と高を括る人もいるかもしれない。

 しかし、東海大学海洋研究所客員教授で日本地震予知学会会長の長尾年恭氏は「直下地震では緊急速報は鳴らない」と警告する。

「緊急地震速報は、すでに発生した地震の最初の揺れ(初期微動)を捉え、より強い揺れ(主要動)の前に伝えるシステムです。ところが、震源の直上が揺れる直下地震では、地震発生とほぼ同時に強い揺れが襲うため警告が間に合わない」

 不意打ちで震度7の強震が襲えば、机の下に隠れたり、固定していない家具を押さえたりする余裕はない。逃げることができない前提で、対策をシミュレートしておく必要がある。

図制作/タナカデザイン

※週刊ポスト2021年8月20日号

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