ラジオ番組で車両保存への思いを語った福山雅治(Imaginechina/時事通信フォト)

ラジオ番組で車両保存への思いを語った福山雅治(Imaginechina/時事通信フォト)

 長崎市・佐世保市・諫早市・大村市など沿線自治体に問い合わせたが、いずれの関係部署からも「こちらから引き取るという話は出なかった。また、JR九州側から打診されることもなかった」と口を揃えた。

「購入と土地代はボクがやりますけど」

 鉄道車両の保存・展示は、クリアしなければならない問題が多い。さしあたって問題となるのは、資金、保存場所だろう。そして定期的にメンテナンスをする人手も必要になる。

 やはり、キハ66形・67形の保存は無理かもしれないと諦めムードが漂いかけたとき、長崎市出身のミュージシャン・俳優の福山雅治さんが、7月17日にオンエアされた「福山雅治と荘口彰久の『地底人ラジオ』」でリスナーのメッセージに答える形で、キハ66形・67形について言及した。

 福山さんは、「子供の頃からキハ66形に乗ってばーちゃんちに行った」ことを明かし、「俺にとっては『ベージュと朱色みたいな赤色みたいなキハ』こそが、『弓なりに続く線路』を走っていた汽車なんですよ」とラジオで語った。

『弓なりに続く線路』とは、福山さんの歌「道標」に出てくる歌詞の一節。つまり、特徴を言い表しづらいキハ66形・67形は、福山ワールドの原風景でもある。

 そもそもキハ66形・67形は山陽新幹線が博多駅まで延伸開業するのに先立って、博多駅から九州各地へ接続・連絡する車両として開発・製造された。非特急・非観光列車にもかかわらず、転換クロスシートの座席という珍しい車両だった。そうした点が評価され、登場翌年には鉄道友の会が優れた車両に贈るローレル賞を受賞している。

 福山さんは「買って置いておくところがあって、長崎の有志たちがちゃんと清掃とかのお手入れ、維持管理ができたら、車両の購入と土地代はボクがやりますけど」と保存・展示を資金面でバックアップすることを明言した。

 どこにでもありそうに見えるかもしれないキハ66形・67形だが、実は30両しか製造されなかった。鉄道に詳しくないと何の変哲もない車両だが、鉄道ファンから人気がある理由は、そうした希少性にくわえて国鉄型と呼ばれる懐かしさを感じさせる外観にある。製造数が少なかったことから九州内でしか走ることがなかったため、九州以外の人たちにとってキハ66形・67形への思い入れは分かりづらい。共感を得にくいため、クラウドファンディングで全国から保存・展示の資金を調達することは難しい。

 福山さんが資金を支援するという発言により、資金面でのハードルはクリアできる可能性が高まった。残っている問題は、保存・展示する場所と定期的にメンテナンスをしてくれる人手の確保ということになる。

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