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甲子園20勝の桑田真澄 球数は「週500球以内」の現行ルール内だった

当時から『肩は消耗品』という認識を持って取り組んでいた桑田真澄(写真/AFLO)

桑田真澄は当時から「肩は消耗品」という認識を持って取り組んでいた(写真/AFLO)

 1年夏から甲子園制覇を果たし、5季連続出場、3年夏も深紅の大優勝旗を手にする──100回を超える歴史のある夏の高校野球において、1983~1985年のPL学園における桑田真澄と清原和博ほど鮮烈な印象を残したコンビはいない。

 PL学園の1期生で、1962年に監督として同校を初めて甲子園出場に導いたあとは選手を勧誘する担当となった“伝説のスカウトマン”井元俊英、PL学園の名将・中村順司、リトルシニア時代から清原と対戦経験があり、のちにPL学園でチームメイトとなった今久留主成幸らが明かす「KK秘話」とは。ノンフィクションライターの柳川悠二氏がリポートする。(文中敬称略)

 * * *
 2016年に休部となるまで、PLグラウンドのレフト後方には、屋内練習場が建っていた。

 清原の打球はレフトのネットを越え、屋内練習場の屋根に頻繁に当たった。嘘か真か、そうしたド派手なパフォーマンスに機嫌を損ねる先輩がいたから、気兼ねした清原がライト打ちをマスターしたとも囁かれる。

「飛んでいくんだから仕方ない。それも竹バットでオーバーフェンスするんですから。僕ら小物は、先輩の目を気にして、良い当たりをしたあとなんかは送りバントの練習に切り換えたりしていましたが、清原君はそんなことありませんでした」(今久留主)

 KKのふたりは1年夏の甲子園で夏春夏の3連覇がかかったあの池田と対戦し、桑田が投げるだけでなく、相手エース・水野(雄仁)から一発を放ち、勝利する。清原も決勝の横浜商戦でラッキーゾーンに第一号アーチを架けた。

「清原には遠くへ飛ばす力と技術があった。その代は体が小さな選手が多かったから、チームのバランスを考えても清原は不可欠な存在でした」

 中村はそう振り返る。

 KKが2年生の秋、PL学園は秋季大阪大会準決勝で上宮と対戦する。同校の捕手は、大正中学時代の桑田とバッテリーを組んでいた西山秀二(元広島ほか)だ。現在、ラジオ日本で解説者を務める彼は、プロ時代も含めて、桑田ほど正確なコントロールの投手を知らないと語る。

「桑田のボールを受けたことで、構えたところに放れるピッチャーが当たり前のように中学生の僕は思っていた。だから当時は、桑田がすごいとは思っていなかった。

 でも、別の高校に入学すると、現実は違った。もっと言うと、僕がプロに入ってから、正確なコントロールで驚いた投手は(広島のエースだった)北別府学さんだけでした。つまり、桑田は中学生の時点で、プロのトップレベルと同じぐらいのコントロールを持っていたんです」

キヨはバットを振ればいい

 清原にとって大きな挫折は最上級生となって迎えた1985年のセンバツ、準決勝で伊野商業に敗れた試合だ。相手のエースはのちに西武で一緒になる渡辺智男。清原は3三振を喫した。その日の夜の屋内練習場では、清原が上半身裸で、体から湯気を出しながら剛速球を打ち込んでいる姿が幾人にも目撃されている。

 この頃、井元は清原にアドバイスを送ったことがある。夏場の連戦に向け、清原の下半身に疲労が蓄積することを井元は危惧していた。ゆえに、足腰を鍛えておいたほうがいい。そんなつもりで清原に声をかけた。

「桑田に頼んで一緒に走ったらどうだ?」

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