国内

河村市長のメダル齧り 「なにが悪いの?」と居直るおっさんは普通にいる

ソフトボール女子五輪代表の後藤希友投手(右)の表敬訪問を受け、首に掛けてもらった金メダルにかみつく名古屋市の河村たかし市長(時事通信フォト)

ソフトボール女子五輪代表の後藤希友投手(右)の表敬訪問を受け、首に掛けてもらった金メダルにかみつく名古屋市の河村たかし市長(時事通信フォト)

「亀の甲より年の功」といわれ、年長者の経験は貴重なので尊重すべきと言われるが、その経験が時代に合わなくても自分の流儀で振る舞い続ける「おっさん」が各地で迷惑を振りまいている。名古屋市の河村たかし市長が、表敬訪問した金メダリストのメダルを、いきなり噛んだことが非難を集めているが、似たような市井の「おっさん」のハラスメントに満ちた言動に悩まされた体験を思い起こした人も多いだろう。俳人で著作家の日野百草氏が、ジェネレーションギャップという言葉だけでは片付けがたい「おっさん」によるハラスメントの被害についてレポートする。

 * * *
「河村さんね、あれ、そんなに怒ることかね、あの人も楽しませるためにやったことでしょ」

 北関東の小さな会合、筆者は耳を疑った。区長経験もある男性(70代)と世間話に及んだ際に出た言葉だ。彼は地主でガソリンスタンドなど手広く経営しているという。区長というのは政令指定都市の区長というわけではなく、行政区設置条例で住民たちが決めて市町村から委託される立場、大きな町内会長みたいなものだ。筆者もあまり馴染みがないのだが、一部地域に設置されている独特の制度である。

「選手は怒ってないよね、あんたたちみたいな若いのがすぐ騒ぐ」

 彼とは初対面なのだが、とにかく不遜である。初対面の上にこちらは来賓の立場である。筆者が年下で彼の子どもと同い年ぐらいというのもあるのだろうか。この世代のおっさん(以降、老人ではないかという意見もあろうがおっさんで統一)の一部は自分の子どもと他人の子を区別できなかったり、年下というだけで一社会人である年下を尊重できなかったりする。彼は地方の大学を卒業後、家業の農業をガソリンスタンドに鞍替えした。鉄道の役に立たない北関東、モータリゼーション真っ只中の昭和を切り抜けてきたという。

「私は人に使われたことないからね、まあ人に使われるような男はだめなんだ」

 自慢話を右から左に流し、先ほどの話を蒸し返してみる。名古屋市の河村たかし市長(72歳)が東京オリンピックで金メダルに輝いたソフトボールの後藤希友選手に表敬訪問を受け、あろうことか金メダルを豪快にメダルの紐ごと噛んでみせた「事案」だ。

市長に失礼だよ、彼は市長なんだよ

「楽しいじゃないか、市長がパクっと食べちゃうなんて、あれ、Qちゃんもやったでしょ、細かいことはいいんだよ」

 Qちゃんとは高橋尚子選手のことか。メダリストがメダルを齧るパフォーマンスといえば、日本ではアトランタ五輪柔道・中村兼三選手の金メダルを噛んだことが始まり(カメラマンの提案によるもの)とされているが、有名なシーンといえば彼女のスマイルとメダルを齧る仕草だろう。しかしメダリストは自分が手に入れたものなのでどうしようと構わないが、河村市長はメダリストでもないし、そもそもメダルは彼のものではない。

関連キーワード

関連記事

トピックス

NBAレイカーズの試合観戦に訪れた大谷翔平と真美子さん(AFP=時事)
《真美子夫人との誕生日デートが話題》大谷翔平が夫婦まるごと高い好感度を維持できるワケ「腕時計は8万円SEIKO」「誕生日プレゼントは実用性重視」  
NEWSポストセブン
被害者の村上隆一さんの自宅。死因は失血死だった
《売春させ、売り上げが落ちると制裁》宮城・柴田町男性殺害 被害者の長男の妻を頂点とした“売春・美人局グループ”の壮絶手口
NEWSポストセブン
元夫の親友と授かり再婚をした古閑美保(時事通信フォト)
女子ゴルフ・古閑美保が“元夫の親友”と授かり再婚 過去の路上ハグで“略奪愛”疑惑浮上するもきっぱり否定、けじめをつけた上で交際に発展
女性セブン
突然の「非常戒厳」は、国際社会にも衝撃を与えた
韓国・尹錫悦大統領の戒厳令は妻を守るためだったのか「占い師の囁きで大統領府移転を指示」「株価操作」「高級バッグ授受」…噴出する数々の疑惑
女性セブン
12月9日に亡くなった小倉智昭さん
小倉智昭さん、新たながんが見つかる度に口にしていた“初期対応”への後悔 「どうして膀胱を全部取るという選択をしなかったのか…」
女性セブン
六代目山口組の司忍組長。今年刊行された「山口組新報」では82歳の誕生日を祝う記事が掲載されていた
《山口組の「事始め式」》定番のカラオケで歌う曲は…平成最大の“ラブソング”を熱唱、昭和歌謡ばかりじゃないヤクザの「気になるセットリスト」
NEWSポストセブン
激痩せが心配されている高橋真麻(ブログより)
《元フジアナ・高橋真麻》「骨と皮だけ…」相次ぐ“激やせ報道”に所属事務所社長が回答「スーパー元気です」
NEWSポストセブン
無罪判決に涙を流した須藤早貴被告
《紀州のドン・ファン元妻に涙の無罪判決》「真摯に裁判を受けている感じがした」“米津玄師似”の男性裁判員が語った須藤早貴被告の印象 過去公判では被告を「質問攻め」
NEWSポストセブン
トンボをはじめとした生物分野への興味関心が強いそうだ(2023年9月、東京・港区。撮影/JMPA)
《倍率3倍を勝ち抜いた》悠仁さま「合格」の背景に“筑波チーム” 推薦書類を作成した校長も筑波大出身、筑附高に大学教員が続々
NEWSポストセブン
12月6日に急逝した中山美穂さん
《追悼》中山美穂さん、芸能界きっての酒豪だった 妹・中山忍と通っていた焼肉店店主は「健康に気を使われていて、野菜もまんべんなく召し上がっていた」
女性セブン
結婚披露宴での板野友美とヤクルト高橋奎二選手
板野友美&ヤクルト高橋奎二夫妻の結婚披露宴 村上宗隆選手や松本まりかなど豪華メンバーが大勢出席するも、AKB48“神7”は前田敦子のみ出席で再集結ならず
女性セブン
自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
【入浴中の不慮の事故、沈黙守るワイルド恋人】中山美穂さん、最後の交際相手は「9歳年下」「大好きな音楽活動でわかりあえる」一緒に立つはずだったビルボード
NEWSポストセブン