ライフ

1日14錠服用の80代女性 全薬剤中止から3日目で急激に症状軽快の背景

1日14錠も服用していた80代女性はどう薬を減らしたのか(イメージ)

1日14錠も服用していた80代女性はどう薬を減らしたのか(イメージ)

「薬を減らしたいが、何から手をつけていいか分からない」。こんな悩みを抱える人の参考になるのが、実際に薬を減らせた人の事例だ。日本病院薬剤師会は2018年2月に『多剤投薬の患者に対する病院薬剤師の対応事例集』を公開。同会は多剤投薬の実態調査の一環として、全国48の病院から対応事例を集積し、内容を精査・厳選したうえで33の事例を詳細に紹介している。

 日本病院薬剤師会専務理事の和泉啓司郎氏が解説する。

「多剤投薬の患者に対する薬物有害事象の回避や多職種連携を通じた服薬計画の策定など、病院薬剤師の業務の参考にするべく公開しました」

 日本老年薬学会評議員の高瀬義昌医師(たかせクリニック理事長)が言う。

「これから多剤併用の見直しに取り組もうとしている患者さんは、医師や薬剤師と協力しながら薬を調整していくことが重要になる。そのためにも、この事例集は読む価値があると思います」

 これらの「成功事例」は、主に病院に入院することで集中的に断薬に取り組んだ結果と言える。病院薬剤師として勤務した経験のある銀座薬局代表で薬剤師の長澤育弘氏はこう語る。

「入院時、患者さんがそれまで飲んでいた薬(持参薬)は病院薬剤部で一元的に管理されます。主治医と病院薬剤師が相談しながら治療にあたるので、集中的に減薬に取り組むことができる。事例から具体的な経過や方法を知ることは、多くの患者の参考になります」

全薬剤中止から3日目で急激に症状が軽快した

 事例集はいくつかのテーマに分けて整理されているが、まずは「薬物有害事象の回避」に分類されたケースだ。ここでは、多剤処方による薬の有害事象や副作用を見極めたうえで、原因となる薬を取り除いている。

 80代女性患者(別掲図の症例)の事例を見ていく。1週間前から風邪の症状が見られ、その後、突然の嘔吐で倒れて頭を打って病院に救急搬送。脳神経外科に入院後、心臓の異常や低カリウム血症が認められたことから、循環器内科に転科する。

「事例集ではこの症例に『処方カスケードの典型事例』という見出しがついています。処方カスケードとは、薬の副作用を新たな病気の症状と勘違いして、さらに薬を処方することが繰り返される状態のことです」(長澤氏)

関連記事

トピックス

世界中でセレブら感度の高い人たちに流行中のアスレジャーファッション(左・日本のアスレジャーブランド「RUELLE」のInstagramより、右・Backgrid/アフロ)
《広瀬すずもピッタリスパッツを普段着で…》「カタチが見える服」と賛否両論の“アスレジャー”が日本でも流行の兆し、専門家は「新しいラグジュアリーという捉え方も」と解説
NEWSポストセブン
浅香さんの自宅から姿を消した内縁の夫・世志凡太氏
《長女が追悼コメント》「父と過ごした日々を誇りに…」老衰で死去の世志凡太さん(享年91)、同居するスリランカ人が自宅で発見
取締役の辞任を発表したフジ・メディア・ホールディングスとフジテレビ(共同通信社)
《辞任したフジ女性役員に「不適切経費問題」を直撃》社員からは疑問の声が噴出、フジは「ガバナンスの強化を図ってまいります」と回答
NEWSポストセブン
子宮体がんだったことを明かしたタレントの山瀬まみ
《“もう言葉を話すことはない”と医師が宣告》山瀬まみ「子宮体がん」「脳梗塞」からの復帰を支えた俳優・中上雅巳との夫婦同伴姿
NEWSポストセブン
愛子さま(写真/共同通信社)
《12月1日がお誕生日》愛子さま、愛に包まれた24年 お宮参り、運動会、木登り、演奏会、運動会…これまでの歩み 
女性セブン
海外セレブの間では「アスレジャー
というファッションジャンルが流行(画像は日本のアスレジャーブランド、RUELLEのInstagramより)
《ぴったりレギンスで街歩き》外国人旅行者の“アスレジャー”ファッションに注意喚起〈多くの国では日常着として定着しているが、日本はそうではない〉
NEWSポストセブン
虐待があった田川市・松原保育園
《保育士10人が幼児を虐待》「麗奈は家で毎日泣いてた。追い詰められて…」逮捕された女性保育士(25)の夫が訴えた“園の職場環境”「ベテランがみんな辞めて頼れる人がおらんくなった」【福岡県田川市】
NEWSポストセブン
【複雑極まりない事情】元・貴景勝の湊川親方が常盤山部屋を継承へ 「複数の裏方が別の部屋へ移る」のはなぜ? 力士・スタッフに複数のルーツが混在…出羽海一門による裏方囲い込み説も
【複雑極まりない事情】元・貴景勝の湊川親方が常盤山部屋を継承へ 「複数の裏方が別の部屋へ移る」のはなぜ? 力士・スタッフに複数のルーツが混在…出羽海一門による裏方囲い込み説も
NEWSポストセブン
アスレジャースタイルで渋谷を歩く女性に街頭インタビュー(左はGettyImages、右はインタビューに応じた現役女子大生のユウコさん提供)
「同級生に笑われたこともある」現役女子大生(19)が「全身レギンス姿」で大学に通う理由…「海外ではだらしないとされる体型でも隠すことはない」日本に「アスレジャー」は定着するのか【海外で議論も】
NEWSポストセブン
中山美穂さんが亡くなってから1周忌が経とうとしている
《逝去から1年…いまだに叶わない墓参り》中山美穂さんが苦手にしていた意外な仕事「収録後に泣いて落ち込んでいました…」元事務所社長が明かした素顔
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)(Instagramより)
《俺のカラダにサインして!》お騒がせ金髪美女インフルエンサー(26)のバスが若い男性グループから襲撃被害、本人不在でも“警備員追加”の大混乱に
NEWSポストセブン
(左から)中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏の人気座談会(撮影/山崎力夫)
【江本孟紀・中畑清・達川光男座談会1】阪神・日本シリーズ敗退の原因を分析 「2戦目の先発起用が勝敗を分けた」 中畑氏は絶不調だった大山悠輔に厳しい一言
週刊ポスト