国内

「3回目接種」に向けて政府も始動 ワクチンの効果はいつまで続くのか

イスラエルのベネット首相の母親

イスラエルのベネット首相の母親も3回目の接種を受けた(写真/AFP=時事)

 8月18日、東京都庁のワクチン大規模接種会場で、あるトラブルが起きた。すでに2回接種を終えていた医療従事者が「3回目」を希望し、接種を受けていたのだ。

 都は「問診した医師の判断が不適切」であり、再発防止に努めると発表したが、その見解とは“裏腹”に、政府はすでに「3回目接種」に向けた調整に入っている。

 田村憲久厚労相は20日、ファイザーから1億2000万回分の追加供給を受ける協議を行っていることを表明。政府はすでにモデルナからも、5000万回分の追加供給を受ける契約を結んでいる。

 来年初めには医療従事者らを対象に3回目接種を本格化させたい考えだといい、田村厚労相は「世界の状況や結果を分析しながら判断する」としている。

「この前、2回目を打ったばかりなのに、もう3回目を打つの?」と驚く人もいるだろうが、実際、すでに世界では3回目接種が始まっている。

 昨年12月に初回の接種を始めたイスラエルでは、5月下旬に人口の約6割が2回接種を完了し、新規感染者数が1日10人以下にまで減少。ところが6月後半から上昇に転じ、7月21日の新規感染者1336人のうち、2回接種していた人が52%にのぼった。その後も感染拡大は続き、8月初旬には1日2000人を超える事態に陥った。

 そこでイスラエルが踏み切ったのがワクチンの「3回目接種」だった。サムソン・アスタ・アシュドッド大学病院(イスラエル)のタル・ブロッシュ・ニシモフ医師が語る。

「8月から3回目接種を開始しました。最初は免疫不全の患者、次に60才以上の人、50才以上の人という順に、可能な限り全国民に拡大することを決定しています」

 アメリカも9月20日から3回目接種を始めることを表明し、イギリス、フランス、ドイツなどもこの動きに追随しようとしている。

 そもそも、なぜ3回目接種が必要なのか。その理由は、ワクチンによってできた免疫の効果が、時間の経過とともに低下していくことにある。

 ファイザーは、発症予防効果のピークは2回目接種から2か月後までは96.2%で、半年後には83.7%に低下すると発表した。モデルナは2回目接種から半年間は93.2%だったが、抗体の低減が予想されるため、追加接種が必要になるとの見方を示した。また、米大手医療機関によると、現在、世界で猛威を振るうデルタ株に対するファイザーの効果は76%から42%、モデルナは86%から76%まで低下したという。

関連キーワード

関連記事

トピックス

割れた窓ガラス
「『ドン!』といきなり大きく速い揺れ」「3.11より怖かった」青森震度6強でドンキは休業・ツリー散乱・バリバリに割れたガラス…取材班が見た「現地のリアル」【青森県東方沖地震】
NEWSポストセブン
前橋市議会で退職が認められ、報道陣の取材に応じる小川晶市長(時事通信フォト)
《前橋・ラブホ通い詰め問題》「これは小川晶前市長の遺言」市幹部男性X氏が停職6か月で依願退職へ、市長選へ向け自民に危機感「いまも想像以上に小川さん支持が強い」
NEWSポストセブン
3年前に離婚していた穴井夕子とプロゴルァーの横田真一選手(Instagram/時事通信フォト)
《ゴルフ・横田真一プロと2年前に離婚》穴井夕子が明かしていた「夫婦ゲンカ中の夫への不満」と“家庭内別居”
NEWSポストセブン
二刀流かDHか、先発かリリーフか?
【大谷翔平のWBCでの“起用法”どれが正解か?】安全策なら「日本ラウンド出場せず、決勝ラウンドのみDHで出場」、WBCが「オープン戦での調整登板の代わり」になる可能性も
週刊ポスト
高市首相の発言で中国がエスカレート(時事通信フォト)
【中国軍機がレーダー照射も】高市発言で中国がエスカレート アメリカのスタンスは? 「曖昧戦略は終焉」「日米台で連携強化」の指摘も
NEWSポストセブン
テレビ復帰は困難との見方も強い国分太一(時事通信フォト)
元TOKIO・国分太一、地上波復帰は困難でもキャンプ趣味を活かしてYouTubeで復帰するシナリオも 「参戦すればキャンプYouTuberの人気の構図が一変する可能性」
週刊ポスト
世代交代へ(元横綱・大乃国)
《熾烈な相撲協会理事選》元横綱・大乃国の芝田山親方が勇退で八角理事長“一強体制”へ 2年先を見据えた次期理事長をめぐる争いも激化へ
週刊ポスト
2011年に放送が開始された『ヒルナンデス!!』(HPより/時事通信フォト)
《日テレ広報が回答》ナンチャン続投『ヒルナンデス!』打ち切り報道を完全否定「終了の予定ない」、終了説を一蹴した日テレの“ウラ事情”
NEWSポストセブン
青森県東方沖地震を受けての中国の反応は…(時事通信フォト)
《完全な失敗に終わるに違いない》最大震度6強・青森県東方沖地震、発生後の「在日中国大使館」公式Xでのポスト内容が波紋拡げる、注目される台湾総統の“対照的な対応”
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)の高場悟さんに対する”執着”が事件につながった(左:共同通信)
《名古屋主婦殺害》「あの時は振ってごめんねって会話ができるかなと…」安福久美子容疑者が美奈子さんを“土曜の昼”に襲撃したワケ…夫・悟さんが語っていた「離婚と養育費の話」
NEWSポストセブン
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
週刊ポスト
優勝パレードでは終始寄り添っていた真美子夫人と大谷翔平選手(キルステン・ワトソンさんのInstagramより)
《大谷翔平がWBC出場表明》真美子さん、佐々木朗希の妻にアドバイスか「東京ラウンドのタイミングで顔出ししてみたら?」 日本での“奥様会デビュー”計画
女性セブン