人口が少ない離島にも進んで出店
セコマが道民に愛され続けている最大の理由は、やはり地域密着の強さだろう。それを示す驚異的な数字がある。北海道には全部で179の市町村があるが、セコマグループ全体では175市町村に出店している。地域カバー率は97%、人口カバー率は99.8%にも達しているのだ。
「その最たる例が離島への出店です。奥尻島という離島があります。道南の江差町から約60km離れた日本海に位置する人口約2700人の島で、もちろん大手3社は出店していません。島民にとってはありがたい存在ですよ。
セコマは利尻島、礼文島にも出店しています。大手コンビニは通常、人口3000人の商圏を目安に出店しますが、セコマは地域住民の利便性を重視し、大手が進出しない地域にも入り込んでいった。2014年には、村議会が前年にコンビニ誘致を決めた人口1300人ほどの初山別村に店舗をオープンして話題になりました」(道内事情に詳しいジャーナリスト)
最大震度7を記録した北海道胆振東部地震で、道内が停電になったときも、セコマは車の電源を利用するなどして95%以上の店舗が営業を続け、被災者らの生活を支え、称賛された。地域密着インフラとしての存在感を存分に発揮したのである。
「地域密着インフラ」として北海道で存在感を発揮するセコマ
「持続可能な地域づくり」に貢献
北海道へのこだわりも強い。創業の地で育ってきたセコマは、製造から物流、販売まですべてを自社グループで完結しているが、この独自システムに北海道へのこだわりがある。
「北海道内には21か所の食品工場、13か所の物流センター、6か所の農場などがあり、さまざまな地域の方々に支えていただいています。
北海道は日本の食糧基地としての役割を担い、多くの生産空間を有しているため、生産空間となっている地域の存続は日本にとっても重要な課題です。
そのため、最低限の買い物ができる店舗網の維持、地域産品の積極的な活用(現在70以上の市町村品で160品以上を販売)、地域での雇用(グループ全体で約2万1000人)などの面で、持続可能な地域づくりを地域のみなさまと推進していきます」(同社広報部)