いいものを安く、「知覚価値」の追求
セコマの店内に足を踏み入れると、なんだか違和感を覚える。大手コンビニに必ずある定番のおでんがない。ドーナツもない。大手コンビニと同じ土俵では戦わないということだ。
その代わり、酒類は充実、道内各地で生産された食材を使った商品が多く目に付く。惣菜も種類が豊富だ。店内調理の導入も早かった。しかも惣菜などは100円台の低価格商品が多い。これは大手コンビニとの差別化であり、同時に「いいものを安く」という「知覚価値」を追求した結果だ。
「セコマグループは生産・調達、食品製造、物流、小売りまでのサプライチェーンです。各段階で連携を強め、コストの削減・効率化を実現しています。食品製造段階では、農産・水産の規格外品を有効活用することや端材なども可能な限り利用することで食品ロスの削減=歩留まり向上を実現し、知覚価値を高めています」(前出・広報担当者)
例えば、惣菜で人気商品の煮卵を製造する段階で発生する傷の入ったゆで卵は玉子サラダやサンドイッチに活用。焼き鳥用の鶏肉カット時に発生する端材はパスタの具材として有効活用している。また、惣菜工場ではグループで使用するトレーを製造することで、容器コストを削減し、そこで浮いたコストを食材費に回す。こうした小さな努力の積み重ねで知覚価値を高めているのだ。
物流面にも工夫がみられる。
「店舗の在庫スペースを確保することで物流頻度を少なくすることや、配送の帰り便でグループ工場やメーカー、農場からの引き取りを行い、トラックを極力空で走らせないようにする。近年は自社の商品だけでなく、他社の物流も担うことでさらに効率化を進めています」(同前)
サンドイッチや惣菜などを東京と同じ価格で売っていたのでは、所得格差、経済格差のある北海道では買ってもらえない。そこで製造から物流、小売りまでのあらゆる分野で工夫を重ね、「いいものを安く」の実現に努めているということだ。