寝る2時間前にはスマホも手放したい。小中学生もスマホを使うようになった現代、最も顕著なのは子供の睡眠障害だと、有吉祐睡眠クリニック院長の有吉祐さんが話す。
「寝る前に明るい光を見ると睡眠時間が後ろにずれてしまう。テレビよりスマホの方が目からの距離が近いので、より光の影響を受けやすいのです。成長期にある小学生は、本来なら21時くらいには就寝すべきですが、いまの子供たちは22時過ぎまで塾があったりする。帰宅してからスマホを触りはじめるので、体内リズムが狂ってしまうのです。
しかし、小学生の患者にそれを指摘すると、『先生、ぼくの生きがいを取り上げるの?』と言われてしまう。少なくとも、寝室でのスマホの利用は避けてほしい」
生命を維持するために本当に大切なものは何か、専門家も頭を悩ませている。
「睡眠薬」が怖い
不眠でクリニックを訪れる患者のなかには、睡眠薬を敬遠する人も多い。
「不眠の治療では睡眠薬を処方することもあります。しかし、睡眠薬の服用は体に悪いと考える患者さんも多く、症状が改善されてきた途端、医師に黙って薬をやめる人がいます。薬の種類によっては、治療前よりひどい不眠になってしまうこともある。薬の服用が怖いからといって、自己判断でやめることは厳禁です」(有吉さん)
市販の睡眠改善薬も、常用には危険が伴う。
「週に1回程度ならいいですが、毎日のまないと眠れないなら病院で診察してもらった方がいい。不眠症状を訴える患者さんのなかには、睡眠時無呼吸症候群が原因で睡眠が浅くなり、夜中に目覚めている人もいます。特に閉経後の女性は、睡眠時無呼吸症候群のリスクが男性と同程度に高くなるので要注意です」(有吉さん)
睡眠に詳しくない医師の場合、安易に依存性が高い睡眠薬を処方することもある。かかりつけ医ではなく、専門医を受診しよう。
※女性セブン2021年9月23日号