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自民党総裁選の候補者討論 報ステとWBSの仕切りの差異は興味深かった

(時事通信フォト)

日本記者クラブ主催の自民党総裁選討論会を前に、記念撮影をする(左から)河野太郎規制改革担当相、岸田文雄前政調会長、高市早苗前総務相、野田聖子幹事長代行(時事通信フォト)

 自民党総裁選をめぐる報道が連日繰り返されている。候補者でない人について思わず気になってしまうことも少なくないのではないか。作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が指摘した。

 * * *
 本当に露出の多い4人です。自民党総裁選に立候補した河野太郎氏、岸田文雄氏、高市早苗氏、野田聖子氏が討論するシーンをあちこちの番組で見かけます。同じ日に複数のニュース番組をハシゴしている姿も。4人が横並びに座って語る同パターンが繰り返されるだけに、むしろ、各ニュース番組の「違い」の方が見えてくるのが興味深い。

 9月17日、テレビ朝日系『報道ステーション』(午後9時54分)に生出演した4人。「次の感染拡大ではロックダウンをしますか」「休校にしますか」などの質問に「〇」か「×」か答を求められました。

 しかし、そもそも考えてみれば日本の憲法下でロックダウンはありえない。質問が正確さを欠いていたこともあり、「法律改正もしていないのにロックダウンとはいかがなものか」と候補者から逆質問が飛ぶ。感染状況も地域などで条件が違うのに「休校しますか」とアバウト過ぎる質問に対して指摘され、MCの徳永有美アナは困惑気味に。「前提状況というところもあるんですけど…」などの説明に終始していました。

 逆質問が来ることを想定していなかったのか。あるいは事前に作成された質問を、ただMCとして読み上げていたからか。ネット上でも「報ステの質問がグダグタ」「質問のレベルが低すぎる」と番組側に疑問を呈するコメントが目立ちました。

 さて、その1時間後。今度はテレビ東京系『ワールドビジネスサテライト(WBS)』に同じく4人が生出演。「〇」か「×」の札で答えるコーナーで「将来的には消費税は上げなくてはいけない?」という質問が出されると、やはり4人から「どのぐらいの将来ですか?」と疑問の声が。

 特にばっさり返す傾向が強い河野氏は、札すら上げないで「将来的というのがどれぐらいのタイムスパンを言われているのか分かりません」と回答拒否の姿勢を見せた。さぞやMCがタジタジになるかと思いきや……。

 進行担当の佐々木明子キャスターは、即座に「就任中ということです。もし総理になられたら」と説明を返し、それに対して河野氏は「(総理を)何年やっているのか、日本の場合は分かりません」と答えました。ネットでは「消費税問題から逃げた」「はぐらかし」「国民と対話するつもりがない印象」と、政治家の姿勢の方を批判するコメントが多く見うけられました。

 同じ「候補者4人が揃って討論する」というパターンでも、誰が質問しいかにやりとりするのかで、違う結果が出てくる面白さ。

 そのWBSで水~金曜日のメインキャスターを担当する佐々木明子アナは、テレビ東京へ初の新卒採用女性アナとして入社し、さらに同局初の海外赴任アナとしてニューヨーク支局を担当、経済キャスターとしてリーマン・ショックを現場で体感してきた人です。

 その後は朝の番組『ニュースモーニングサテライト』等でメインをつとめてきました(~2021年3月)。が時に株式市況を伝える口調が早口過ぎて、視聴者に「伝える」ことより株価変動に連動した自分の口調に酔って(?)いるのかと思えたり。「私、マーケットに詳しいのよ」的ノリにちょっとついていけない感じもありました。

 しかし、4月からWBSメインキャスターになると話す速度もぐっと変化して、ゆったりと間合いをとりつつ緩急あり、響く声で明快に語る。その口調は落ち着きと奥行き、視野の広さを感じさせます。夜のニュース番組で視聴者に伝えるためにはどのような自己演出をすればいいのかを考えているのでしょう。

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