芸能

『ライオンキング』に日本初演から出演し続ける青山弥生「ロングランは再生」

青山弥生

ヒヒの呪術師・ラフィキ役を23年間演じ続ける青山弥生

 東京・有明にオープンした有明四季劇場で、ミュージカル『ライオンキング』の公演が始まった。

 本番を2週間後に控えた通し稽古の直前、総勢39人の出演者一人ひとりにエアタッチで挨拶して回る青山弥生。プライドランドの心の支えとなるヒヒの呪術師・ラフィキとその存在が重なる。こんな和やかな雰囲気からの静寂。そして青山が放つズールー語の歌い出しで、その場の雰囲気を一変させた。かと思いきや、コミカルな演技では、ストーリーを知っているはずのスタッフがこらえきれず笑い出す場面もあった。

 青山は、このラフィキ役を1998年の日本初演から続けてきた。

「始めた頃は、声もパーンと出るし、脚もピーンと上がりました。でも、良くも悪くも“なんて簡単に声を出していたんだろう”って思います(苦笑)。いまは、衣裳は重く感じるし、以前ほど簡単に声が出ず、肉体的にはきつい。でも自分の体と向き合うことでまた新たな発見があると感じます」

 初演当初、年老いたラフィキを表現するために、両手両足に各10kg、計40kgのおもりをつけて稽古をしていたというから驚きだ。

肝に銘じた「再演は俗悪になる」

 23年の長きにわたって同じ役に向き合う原動力は、一体何なのか。

「どんな作品も、長くなるほどルーティンになる危険があります。観ているかたはもちろん、やっている方も面白くない。おいしい定食屋さんだって、変わらぬ味のよさはあっても、素材や季節によって毎日変えているはず。ですから私たちも、ただの繰り返しじゃなく毎回が“再生”でなければいけない。毎回、心の澱を出して、血を入れ替えるような気持ちで役に向き合っています」

 その根底には、2018年に亡くなった劇団四季の創設者・浅利慶太さんの言葉が生きている。

「浅利先生はよく“再演すると俗悪になるぞ”とおっしゃっていました。昔の経験だけを頼りに演じると俗悪になる。でも、毎回、すべてを洗い直して真摯に向き合うことができたら、もっとよい舞台になるって。そういう数々の信念は、シンバの心に宿るムファサの言葉のように“肉”となって、私の中に生きています」

関連記事

トピックス

元交際相手の白井秀征容疑者(本人SNS)のストーカーに悩まされていた岡崎彩咲陽さん(親族提供)
《川崎・ストーカー殺人》「悔しくて寝られない夜が何度も…」岡崎彩咲陽さんの兄弟が被告の厳罰求める“追悼ライブ”に500人が集結、兄は「俺の自慢の妹だな!愛してる」と涙
NEWSポストセブン
グラドルから本格派女優を目指す西本ヒカル
【ニコラス・ケイジと共演も】「目標は二階堂ふみ、沢尻エリカ」グラドルから本格派女優を目指す西本ヒカルの「すべてをさらけ出す覚悟」
週刊ポスト
阪神・藤川球児監督と、ヘッドコーチに就任した和田豊・元監督(時事通信フォト)
阪神・藤川球児監督 和田豊・元監督が「18歳年上のヘッドコーチ」就任の思惑と不安 几帳面さ、忠実さに評価の声も「何かあった時に責任を取る身代わりでは」の指摘も
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さん(時事通信フォト)
《ハワイで白黒ペアルック》「大谷翔平さんですか?」に真美子さんは“余裕の対応”…ファンが投稿した「ファミリーの仲睦まじい姿」
NEWSポストセブン
赤穂市民病院が公式に「医療過誤」だと認めている手術は一件のみ(写真/イメージマート)
「階段に突き落とされた」「試験の邪魔をされた」 漫画『脳外科医 竹田くん』のモデルになった赤穂市民病院医療過誤騒動に関係した執刀医と上司の医師の間で繰り広げられた“泥沼告訴合戦”
NEWSポストセブン
被害を受けたジュフリー氏、エプスタイン元被告(時事通信フォト、司法省(DOJ)より)
《女性の体に「ロリータ」の書き込み…》10代少女ら被害に…アメリカ史上最も“闇深い”人身売買事件、新たな写真が公開「手首に何かを巻きつける」「不気味に笑う男」【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン
2025年はMLBのワールドシリーズで優勝。WBCでも優勝して、真の“世界一”を目指す(写真/AFLO)
《WBCで大谷翔平の二刀流の可能性は?》元祖WBC戦士・宮本慎也氏が展望「球数を制限しつつマウンドに立ってくれる」、連覇の可能性は50%
女性セブン
「名球会ONK座談会」の印象的なやりとりを振り返る
〈2025年追悼・長嶋茂雄さん 〉「ONK(王・長嶋・金田)座談会」を再録 日本中を明るく照らした“ミスターの言葉”、監督就任中も本音を隠さなかった「野球への熱い想い」
週刊ポスト
12月3日期間限定のスケートパークでオープニングセレモニーに登場した本田望結
《むっちりサンタ姿で登場》10キロ減量を報告した本田望結、ピッタリ衣装を着用した後にクリスマスディナーを“絶景レストラン”で堪能
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん(時事通信フォト)
笹生優花、原英莉花らを育てたジャンボ尾崎さんが語っていた“成長の鉄則” 「最終目的が大きいほどいいわけでもない」
NEWSポストセブン
日高氏が「未成年女性アイドルを深夜に自宅呼び出し」していたことがわかった
《本誌スクープで年内活動辞退》「未成年アイドルを深夜自宅呼び出し」SKY-HIは「猛省しております」と回答していた【各テレビ局も検証を求める声】
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん
亡くなったジャンボ尾崎さんが生前語っていた“人生最後に見たい景色” 「オレのことはもういいんだよ…」
NEWSポストセブン