厚労省はホームページで《新型コロナワクチンとその他のワクチンは、互いに、片方のワクチンを受けてから2週間後に接種できます》と説明している。
アメリカ・CDC(疾病対策予防センター)のアンソニー・ファウチ博士にいたっては「片方の腕にインフルエンザ、もう片方の腕に新型コロナのワクチンを同日に接種しても何の問題もない」とまで語っている。
さらに、今年はインフルエンザの大流行を予言する声も少なくない。
「昨年は世界の複数の地域で、子供がかかる『RSウイルス感染症』の患者が極端に少なかったのに、今年の夏は感染者が急増して、小児病棟がパンクしかけました。
昨年、流行が抑えられたインフルエンザで同じ事態が生じたら、免疫力の低い高齢者を中心に、長期入院患者や死亡者が増える可能性があります。昨年は流行しなかったのでインフルエンザの自然免疫を持っている人が少なく、重症化するリスクが高くなることも大きな懸念材料です」(中村さん)
そうした状況だからこそ、インフルエンザのワクチンさえ打てば、インフルエンザにかかって重症化するリスクが下がると同時に新型コロナのリスクも下がって、一石二鳥ではないだろうか──。
だが、中村さんは、「インフルエンザワクチンが新型コロナの3回目接種より効果があると言い切るのは難しい」と言う。
「マイアミ大学の論文では、インフルエンザのワクチン接種後に新型コロナの重症化率が下がることはわかっていますが、新型コロナの死亡リスクは下がっておらず、インフルエンザワクチンに過剰な期待はできません。またインフルエンザの予防接種を受ける人はもともと意識が高く、普段から健康に気を使っているから重症化しないとも考えられます。なので、3回目接種の案内が来たら素直に接種した方が効果的です。
また、いまはインフルエンザのリスクが高い状況なので、なるべくインフルエンザのワクチンも接種して、日々の感染対策を怠けないことが求められます」(中村さん)
ワクチンに過度に期待するのではなく、毎日の感染対策を続けることが大切なのである。
※女性セブン2021年10月21日号