アマモについて説明を受けられた(2011年6月、神奈川県三浦市)

アマモについて説明を受けられた(2011年6月、神奈川県三浦市。写真/時事通信フォト)

 琵琶湖を抱える滋賀県大津市で開催された第27回大会(2007年)では、上皇陛下の「ブルーギルは50年近く前、私が米国より持ち帰りました」「いま、このような結果になったことに心を痛めています」というご発言が話題となった。

 ブルーギルは、いまでこそ生態系を荒らす外来魚として知られているが、当時は食用魚として有望視されていた。

「1960年、上皇陛下はシカゴ市長から贈られたブルーギルを日本に持ち帰り、水産庁の研究所に寄贈されました。上皇陛下が持ち帰った魚が繁殖を続けたのかは未確認ですが、外来魚に悩まされる漁師たちを心配され、“謝罪発言”をされた上皇陛下の誠実さは聴衆の心を打ちました」(皇室ジャーナリスト)

 上皇ご夫妻は、御代がわり前の高知県で開催された第38回大会(2018年)まで大会にご臨席され、全国の漁業関係者を励まされた。

アマモは海のゆりかご

 漁業の振興と発展を図る海づくり大会にとって、ひとつの転機となったのが、香川県で開催された第24回大会(2004年)だった。

 水産庁関係者が『都会の里海 東京湾 人・文化・生き物』の著者で海洋環境専門家の木村尚さんのもとを訪れた。

「どのようなものを放流したらいいか、というご相談でした。私は、『稚魚を放流しても、魚が育って増えていくとは限らないので、アマモを育てて、魚が育つ環境を整えることが大切です』とお伝えし、海づくり大会で天皇陛下が子供らにアマモをお手渡しするアイディアを提案しました」(木村さん)

「アマモ」は、水のきれいな浅い海の砂地に生える海草の一種だ。海中で花を咲かせて種子によって繁殖する。

「アマモは太陽光を浴びて二酸化炭素を吸収し、酸素を放出します。同時に海底から窒素やリンなどの栄養も吸収し、海の環境を守る大切な役割を果たします。アマモが群落になっている場所(アマモ場)は、メバルやマダイなどさまざまな種類の稚魚が育つ絶好の場として知られ、『海のゆりかご』と呼ばれます。

 しかし、埋め立てが進み、浅い海が減った現在は、アマモ場が姿を消しつつあり、大きな問題になっています」(木村さん)

 豊かな水産資源を育てるには、「海のゆりかご」が必要―木村さんの提言は関係者に受け入れられ、天皇陛下が子供たちにアマモの苗を手渡されることとなった。

 2011年、天皇陛下(当時)の葉山御用邸静養中に、木村さんはアマモについて両陛下と懇談する機会を得た。

「私は頭が真っ白になってしまって陛下とどんな会話をしたのか覚えていませんが、上皇后さまが『陛下はアマモに関して真剣に取り組んでくださっています』と仰せられたことは覚えています。うれしかったですね」(木村さん)

関連記事

トピックス

足を止め、取材に答える大野
【活動休止後初!独占告白】大野智、「嵐」再始動に「必ず5人で集まって話をします」、自動車教習所通いには「免許はあともう少しかな」
女性セブン
大谷翔平選手(時事通信フォト)と妻・真美子さん(富士通レッドウェーブ公式ブログより)
《水原一平ショック》大谷翔平は「真美子なら安心してボケられる」妻の同級生が明かした「女神様キャラ」な一面
NEWSポストセブン
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
大谷翔平の伝記絵本から水谷一平氏が消えた(写真/Aflo)
《大谷翔平の伝記絵本》水原一平容疑者の姿が消失、出版社は「協議のうえ修正」 大谷はトラブル再発防止のため“側近再編”を検討中
女性セブン
被害者の宝島龍太郎さん。上野で飲食店などを経営していた
《那須・2遺体》被害者は中国人オーナーが爆増した上野の繁華街で有名人「監禁や暴力は日常」「悪口がトラブルのもと」トラブル相次ぐ上野エリアの今
NEWSポストセブン
海外向けビジネスでは契約書とにらめっこの日々だという
フジ元アナ・秋元優里氏、竹林騒動から6年を経て再婚 現在はビジネス推進局で海外担当、お相手は総合商社の幹部クラス
女性セブン
運送会社社長の大川さんを殺害した内田洋輔被告
【埼玉・会社社長メッタ刺し事件】「骨折していたのに何度も…」被害者の親友が語った29歳容疑者の事件後の“不可解な動き”
NEWSポストセブン
二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ
《独立後相次ぐオファー》二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ 「終盤に出てくる重要な役」か
女性セブン
真剣交際していることがわかった斉藤ちはると姫野和樹(各写真は本人のインスタグラムより)
《匂わせインスタ連続投稿》テレ朝・斎藤ちはるアナ、“姫野和樹となら世間に知られてもいい”の真剣愛「彼のレクサス運転」「お揃いヴィトンのブレスレット」
NEWSポストセブン
破局した大倉忠義と広瀬アリス
《スクープ》広瀬アリスと大倉忠義が破局!2年交際も「仕事が順調すぎて」すれ違い、アリスはすでに引っ越し
女性セブン
交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン
大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン