モニター越しに放流を見守られた(10月、石巻市。撮影/横田紋子)
さかなクンは「ギョギョギョ!」
令和元年。秋田県で開催された第39回大会には、現在の天皇皇后両陛下が初めてご臨席された。
その際、天皇陛下はこんなおことばを述べられた。
《私自身、以前に鳥海山に登った折に、鳥海山の雪解け水がブナ林を養い育て、伏流水となって山麓の田畑を潤し、やがて日本海に注いで良質なイワガキを育んでいると聞き、山と海、そして人間との大切なつながりを感じたことを思い出します。
このような豊かな海の環境を保全するとともに、水産資源を保護・管理し、海の恵みと美しさを次世代に引き継いでいくことは、私たちに課せられた大切な使命であると考えます》
大森専務は「このおことばを聞き、海づくり大会の意義を広く国民に深めていくことを改めて誓いました」と語る。
「天皇陛下ご自身の過去のご経験を踏まえ、山から海に至る水を通じた自然の環境の重要性を問いかけていただきました。ご皇室の『豊かな海づくり』に対する深いお心を重く受け止めております」(大森専務)
天皇陛下は、積極的に、水問題に取り組まれてきた。
「学習院大学の卒業論文のテーマは『中世の瀬戸内海の水運』で、留学先のオックスフォード大学でもテムズ川の水上交通を研究されました。
1987年に親善訪問したネパールで水くみ場に列をなす女性や子供を見られて、水不足が貧困や教育格差などに結びつくことを実感され、水により一層の問題意識を持たれたといいます」(前出・皇室ジャーナリスト)
令和元年の大会前日には、関係者を驚かせる出来事があった。
歓迎レセプションには、全漁連の魚食普及推進委員を務めるタレントのさかなクンも出席した。懇談後、退出される両陛下がさかなクンに近寄り、お声がけをされたという。
「私もその場にいたので本当に驚きました。数年前に都内の大学でさかなクンが講演した際、愛子さまがご学友といらしており、懇談する機会があったようです。その際のことについて、雅子皇后は『ありがとうございました』と感謝のお言葉を述べられていました。
さかなクンは『ギョギョギョ!としました』と感想を話していましたが、喜びいっぱいの表情に、私たちもうれしくなりました」(大森専務)