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「NHKの制約を演出に活用」オダギリジョーが切り開くドラマの可能性

警察犬オリバー役での出演は放送開始まで伏せられていた (c)NHK

警察犬オリバー役での出演は放送開始まで伏せられていた (c)NHK

 アクの強い登場人物たちと奇想天外なストーリーで話題になった連続ドラマ『オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ』(NHK総合)が、10月1日、全3回の放送を終えた。最終回から2週間近くが過ぎた今も、俳優のオダギリジョー(45)が脚本・演出・編集を手がけた本作には、“新たなドラマの可能性”を切り開いたとの呼び声が高い。

『オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ』は、鑑識課警察犬係の主人公・青葉一平(池松壮亮)が、相棒の警察犬・オリバー(オダギリジョー)とともに、不可解な事件に挑んでいく物語。9月17日に第1回が放送されると、スタイリッシュな映像と個性あふれるキャラクターたちが繰り広げるコミカルな演技、またオダギリジョーが犬役で出演するという自由なアイデアも相まって大きな反響を呼んだ。

 キャストには麻生久美子や永山瑛太、永瀬正敏、佐藤浩市、松重豊、柄本明ら豪華俳優陣に加え、ミュージシャンの細野晴臣や鈴木慶一らも出演。それだけでも驚きだが、ドラマ内で多数の小ネタやさまざまな作品へのオマージュが散りばめられているなど、脚本・演出・編集も凝った作りとなっており、視聴者を飽きさせない内容に仕上がっていた。

 最終回では、登場人物たちが放送時間を気にするなどメタフィクション的な演出もありつつ、突然のラップバトルやダンス、無数の映像断片がフラッシュバックする編集など、きわめて自由度の高い構成で結末を迎えた。通常のサスペンスドラマは事件を解決することに醍醐味があるものの、そうしたストーリー展開にとらわれないユニークな内容だった。

 かねてオダギリジョーの活動を追いかけ、放送前に本人への取材も行った映画ライターのSYO氏は、今回のドラマを「彼のものづくりの結晶」と評価する。

「オダギリジョーさんは映画『さくらな人たち』や『ある船頭の話』、ドラマ『時効警察』のエピソード監督など、監督としても積極的に活動してきました。脚本・編集もご自身で行うスタイルをとっており、ファッションセンスにおいては言わずもがなです。彼ならではの“個性”がはっきりと出る形のものづくりを志向されてきました。その結晶といえるのが、今回のドラマであるように感じます。

 本作は“警察官と警察犬のコンビが、巷を騒がせる難事件を追う”というもの。しかしその中身は、単なるサスペンス&ミステリードラマに終わらず、メタ要素も絡んだコメディ、ミュージカル、さらには『私立探偵 濱マイク』等々へのオマージュ、『孤独のグルメ』へのパロディ要素も入れ込んだジャンルレスな内容です。カメラワークやカット割りも独特で、遊び心にあふれていました。最終回の意表を突いた展開は、視聴者の中で語り草になることでしょう」(SYO氏)

本作では脚本・演出・出演・編集までこなした(ABACA PRESS/時事通信フォト)

本作では脚本・演出・編集までこなした(ABACA PRESS/時事通信フォト)

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