毎日マスクの摩擦で刺激を受けている肌は、肌の内側にメラニンがたまったシミ予備軍「隠れジミ」が発生している可能性が高い。隠れジミを放置してマスクを着け続けていれば、いずれ肌表面にシミとして現れる。
「コロナ禍が収束してノーマスクで生活できるようになったとしても要注意。マスクの摩擦で隠れジミができている部分は摩擦を受けていないほかの部分と比べ、紫外線の影響でシミができやすくなっています」
そうでなくても、年齢を重ねた肌は若いときよりシミができやすい状態にある。
主にシミには「日光性色素斑」と「肝斑」と呼ばれるものがあるが、シミの広がり方やシミができる理由が異なる。花房さんが言う。
「日光性色素斑は、シミとそれ以外の部分の境界線がはっきりしている。一方の肝斑は、頰や目の下などに左右対称で薄茶色に広がっており、境界線がわかりにくい。
また、日光性色素斑の原因が紫外線による角化細胞の異常であるのに対し、肝斑は30代以降の女性ホルモンの乱れなどが原因とされ、角化細胞の異常もありません。そのため、クリニックで治療する場合、日光性色素斑は異常を起こしている角化細胞を取り除けば終わりですが、肝斑は決定的な治療法がないのです」
ただし、いずれのシミもメラニンの蓄積によって濃くなるというメカニズムは同じ。摩擦と紫外線が悪影響を与えることも同じだ。
日頃からシミ対策を心がけることが、最大の防御となる。
顔に合わないマスクでシミリスクが上がる
肝斑ができやすいのは頰骨の周辺とされ、最もマスクが擦れる部分と一致する。本来ならば、肌への刺激が弱いコットン素材のマスクを着けたいところだが、新型コロナ感染症対策の視点では、不織布マスクでなければ意味がないという報告もあり難しい。
注目すべきは不織布マスクのサイズや形状だ。最近は、プリーツタイプだけでなく、さまざまな形の不織布マスクが売られている。
「大きくてズレやすいマスク、小さくて締めつけがきついマスクは刺激が強くなってシミの原因になりかねない。自分の顔に最もフィットするサイズや形状のマスクを選びましょう」(花房さん)
不織布マスクには「UVカット」を売り文句にしている商品もあるが、100%カットしてくれるわけではないので紫外線対策は必須。さらに、マスクが擦れる部分は日焼け止めクリームが落ちやすいため、マスクを着けているときこそこまめに塗り直そう。