手術の有無別「がん5年生存率」【前立腺、胃、大腸】

手術の有無別「がん5年生存率」【前立腺、胃、大腸】

 がん専門病院である浜松オンコロジーセンター代表の渡辺亨医師は、便潜血の結果への対応は、医師により異なると言う。

「便潜血でとった2検体のうちどちらかが陽性の場合、もう1セット便潜血を行ない、2回目の2検体が陰性なら問題ないとする考え方と、1回でも陽性が出たらすぐに内視鏡検査にという考え方の2通りがあります。

 内視鏡専門医は後者が多いですが、そうでない医師は患者の負担を考えて前者を選択することもあり、ギャップがあります。今後は、便潜血を2セット繰り返すやり方で大腸がんの見落としがどれくらいあったか、データを精査する必要があるでしょう」

 部位別に見た死者数が最も多い「肺がん検診」はどうか。国が推奨するのは胸部X線(レントゲン)と、喀痰細胞診(痰の中の細胞成分を顕微鏡で見る検査)だ。渡辺医師は、いまだに肺がん検診がレントゲンの状況にこう疑義を呈す。

「正直に言って、胸部レントゲンの肺がん検診は無意味です。胸部レントゲンは死角が多く、心臓、肋骨などの影に隠れている腫瘍は見えないうえに画像解像度も高くない。

 他方、現在は検出力が高い『低線量CTスキャン』があります。CTで情報を集めれば、肺の横切り断面も縦の断面も斜め断面も、自在に画像を構築できる。肺がんの早期発見に活用しない手はないはず」

 近年も、東京・杉並区の肺がん検診で見落としによって患者が死亡した問題が大きな注目を集めた。レントゲンの不鮮明な画像をどう読むかは、診断医次第であることは否めない。

 肺がんに次いで死者数が多い「胃がん」の検診は、長年、バリウム検査のみが推奨されてきたが、国は2015年から内視鏡検査も選択肢として推奨するようになった。バリウム検査については、体内に固着して孔を開けてしまう「穿孔」や、最大45度まで傾斜する検査台から滑り落ちる事故が起きるなどの問題点が指摘されている。

「早期の胃がんには凹凸があまりなく、バリウム検査では異常が発見しにくい。バリウム検査で見つかったがんは3割が進行がんだったとの調査もあります」(渡辺医師)

 胃がんの早期発見には内視鏡検査が望ましいわけだが、「医師の力量差」に影響される面がある。

「内視鏡では胃の中がよく見えるので、医師はちゃんと見ているような気分になりがちですが、実際には死角が結構ある。医師の力量によっては同じものを見てもがんかどうかわからない、ということもあり得ます」(押川医師)

関連キーワード

関連記事

トピックス

防犯カメラが捉えた緊迫の一幕とは──
《浜松・ガールズバー店員2人刺殺》「『お父さん、すみません』と泣いて土下座して…」被害者・竹内朋香さんの夫が振り返る“両手ナイフ男”の凶行からの壮絶な半年間
NEWSポストセブン
リモートワークや打合せに使われることもあるカラオケボックス(写真提供/イメージマート)
《警視庁記者クラブの記者がカラオケボックスで乱痴気騒ぎ》個室内で「行為」に及ぶ人たちの実態 従業員の嘆き「珍しくない話」「注意に行くことになってるけど、仕事とはいえ嫌。逆ギレされることもある」 
NEWSポストセブン
「最長片道切符の旅」を達成した伊藤桃さん
「西国分寺から立川…2駅の移動に7時間半」11000kmを“一筆書き”した鉄旅タレント・伊藤桃が語る「過酷すぎるルート」と「撮り鉄」への本音
NEWSポストセブン
ドジャース・山本由伸投手(TikTokより)
《好みのタイプは年上モデル》ドジャース・山本由伸の多忙なオフに…Nikiとの関係は終了も現在も続く“友人関係”
NEWSポストセブン
齋藤元彦・兵庫県知事と、名誉毀損罪で起訴された「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志被告(時事通信フォト)
NHK党・立花孝志被告「相次ぐ刑事告訴」でもまだまだ“信奉者”がいるのはなぜ…? 「この世の闇を照らしてくれる」との声も
NEWSポストセブン
ライブ配信アプリ「ふわっち」のライバー・“最上あい”こと佐藤愛里さん(Xより)、高野健一容疑者の卒アル写真
《高田馬場・女性ライバー刺殺》「僕も殺されるんじゃないかと…」最上あいさんの元婚約者が死を乗り越え“山手線1周配信”…推し活で横行する「闇投げ銭」に警鐘
NEWSポストセブン
伊勢ヶ濱親方と白鵬氏
旧宮城野部屋力士の一斉改名で角界に波紋 白鵬氏の「鵬」が弟子たちの四股名から消え、「部屋再興がなくなった」「再興できても炎鵬がゼロからのスタートか」の声
NEWSポストセブン
環境活動家のグレタ・トゥンベリさん(22)
《不敵な笑みでテロ組織のデモに参加》“環境少女グレタ・トゥンベリさん”の過激化が止まらずイギリスで逮捕「イスラエルに拿捕され、ギリシャに強制送還されたことも」
NEWSポストセブン
親子4人死亡の3日後、”5人目の遺体”が別のマンションで発見された
《中堅ゼネコン勤務の“27歳交際相手”は牛刀で刺殺》「赤い軽自動車で出かけていた」親子4人死亡事件の母親がみせていた“不可解な行動” 「長男と口元がそっくりの美人なお母さん」
NEWSポストセブン
荒川静香さん以来、約20年ぶりの金メダルを目指す坂本花織選手(写真/AFLO)
《2026年大予測》ミラノ・コルティナ五輪のフィギュアスケート 坂本花織選手、“りくりゅう”ペアなど日本の「メダル連発」に期待 浅田真央の動向にも注目
女性セブン
トランプ大統領もエスプタイン元被告との過去に親交があった1人(民主党より)
《電マ、ナースセットなど用途不明のグッズの数々》数千枚の写真が公開…10代女性らが被害に遭った“悪魔の館”で発見された数々の物品【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さん(時事通信フォト)
《ハワイで白黒ペアルック》「大谷翔平さんですか?」に真美子さんは“余裕の対応”…ファンが投稿した「ファミリーの仲睦まじい姿」
NEWSポストセブン