思えば、清原果耶は、2019年のドラマ『蛍草 菜々の剣』(原作・葉室麟)でも、父と自分が仕えた主人の敵と戦うために、剣の腕を磨く娘・菜々を演じた。女剣士といえば、きりりと袴をはいて勇ましい声をあげるのが定番だが、前掛けをした菜々はおっとりした泣き虫。もちろん、声もささやき系。それでもこどもたちや長屋の仲間、道場の師範に助けられ、黙って剣をとるのだ。若い娘が、死ぬかもしれない一騎打ちに「静かに」立ち向かう。女剣士としてもニュータイプを見た気がしたし、泣かされた。
『モネ』では、ささやき姉妹とは対照的に、いつも明るく「大丈夫」と元気のよかった亮が、本音ではちっとも大丈夫じゃなかったことがわかった。心に痛みや悩みを抱えているのに、無理に大きな声で元気よく見せなくたっていい。これは、このドラマの大事なテーマのひとつなのだ。