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2021.10.21 07:00  週刊ポスト

美とグロとユーモアが交錯 まさに“平山夢明ワールド”全開の短編集

 もちろん本書は、場末の格闘家が死ぬまで殴り合う「ふじみのちょんぼ」や、食を巡る暴走が恐い「箸魔」など、血生臭い描写にも事欠かない。だんだんそれに慣れていく自分が怖いような気もするのだが。

「いいのよ、慣れて。今の国会なんて魔の巣窟だしさ、これくらい読めなきゃ今の世の中、生きていけないよ。それでも今回は『意外にマイルド』と言う人もいて、要するにいろんなメニューがある街の中華屋だよね。一番高くてもカニ玉みたいな。しんどい時や腹ペコな時に、誰かが読みに来てくれたらいいのかなって」

 究極の目標は「野良でも平気な人間を増やすこと」。一見ろくでもない人たちのここぞという美点や間違いのなさを描き、偽善者には一転手厳しい平山作品は、それこそ帯にもあるように、どんなにハズレな人生でもおしまいにする前に読みたい、〈明日なき世界の福音〉なのだ。

【プロフィール】
平山夢明(ひらやま・ゆめあき)/1961年神奈川県生まれ。法政大学在学中からホラー映画の自主制作を手がけ、1993年より実話怪談『「超」怖い話』シリーズへの参加やノンフィクション作品『異常快楽殺人』の執筆など幅広く活動。2006年「独白するユニバーサル横メルカトル」で日本推理作家協会賞短編部門、2010年『ダイナー』で日本冒険小説協会大賞と大藪春彦賞。著書に『他人事』『或るろくでなしの死』『暗くて静かでロックな娘』『ヤギより上、猿より下』等。178cm、76kg、B型。

構成/橋本紀子 撮影/朝岡吾郎

※週刊ポスト2021年10月29日号

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