国内

帰ってきた「ぶつかりおじさん」 やり返せない人が狙われる

緊急事態宣言があけ、復活した通勤ラッシュとともに帰ってきた人たちがいる(イメージ、EPA=時事)

緊急事態宣言があけ、復活した通勤ラッシュとともに帰ってきた人たちがいる(イメージ、EPA=時事)

 今から約3年前、新宿駅で次々と女性にだけぶつかり続ける男の動画がSNSで拡散され、ネットでは同様の体験を報告する声があつまった。その被害の多くは駅、それも混雑時に起きており、ぶつかる人の多くが中年男性だったことから「ぶつかりおじさん」と総称されるようにもなった。新型コロナウイルス感染拡大防止のために緊急事態宣言が発令され、通勤ラッシュが消えていたときには姿を減らしていた「ぶつかりおじさん」が、第5波が過ぎ通勤ラッシュの復活とともに戻ってきた。俳人で著作家の日野百草氏が、帰ってきた「ぶつかりおじさん」について、その被害や、おじさん側の言い分をレポートする。

 * * *
「ぶつかりおじさんがまた増えてます。本当に怖いです」

 10月に入り筆者に届いた女性からのメール、「ぶつかりおじさん」とは何ぞや思えば、主に駅で故意にぶつかってくる人のことらしい。調べてみれば「体当たりおじさん」「タックルおじさん」ということで本来はおじさんに限った話ではないのだろうが、どうやら主に男、とくにおじさんに限定されているらしい。また彼女曰く、ぶつかってくるのはたいていおじさんなので「ぶつかりおじさん」のようだ。身も蓋もないが社会的にはそうコンセンサスが形成されているのだろう。

「露骨に体当たりしてきます。普通にぶつかっちゃったとか、そういうのじゃないんです。された女性ならわかるはずです」

 満員電車や駅の混雑が復活すると同時にまたぞろ増えだした彼ら、「帰ってきたぶつかりおじさん」。緊急事態宣言も明け、筆者はさまざまな女性からの被害談、目撃談をヒアリングしたが、誰に聞いても普通のスーツ姿の中高年男性ということが恐ろしかった。

「昨日、池袋駅でぶつかられたんです。絶対わざとです。斜向いから来て大きなかばんを思い切り脇腹に当てられました。痛いのと怖いのとで売店の壁にうずくまってしまいました」

 なるほど、それなら筆者も目撃している。四ツ谷駅、御茶ノ水駅、そして同じ池袋駅だ。四ツ谷駅は気丈な女性が言い争って揉めているのを駅員と警備員が割って入っていた。

「ヤカラじゃないよ、普通のサラリーマンだね」

 駅のことは駅に聞けということで、馴染みの清掃員の方に伺う。彼は私鉄なので先に筆者が目撃した駅ではないが、それでも日々の中で「ぶつかりおじさん」と遭遇しているという。

「だって俺もやられるし、女性だけじゃないね」

 なんと清掃員も被害に遭っているということでお仕事終わりに道すがら話を聞くことを約束し、通用口の前で落ち合った。

関連記事

トピックス

小林ひとみ
結婚したのは“事務所の社長”…元セクシー女優・小林ひとみ(62)が直面した“2児の子育て”と“実際の収入”「背に腹は代えられない」仕事と育児を両立した“怒涛の日々” 
NEWSポストセブン
松田聖子のものまねタレント・Seiko
《ステージ4の大腸がん公表》松田聖子のものまねタレント・Seikoが語った「“余命3か月”を過ぎた現在」…「子供がいたらどんなに良かっただろう」と語る“真意”
NEWSポストセブン
今年5月に芸能界を引退した西内まりや
《西内まりやの意外な現在…》芸能界引退に姉の裁判は「関係なかったのに」と惜しむ声 全SNS削除も、年内に目撃されていた「ファッションイベントでの姿」
NEWSポストセブン
(EPA=時事)
《2025の秋篠宮家・佳子さまは“ビジュ重視”》「クッキリ服」「寝顔騒動」…SNSの中心にいつづけた1年間 紀子さまが望む「彼女らしい生き方」とは
NEWSポストセブン
イギリス出身のお騒がせ女性インフルエンサーであるボニー・ブルー(AFP=時事)
《大胆オフショルの金髪美女が小瓶に唾液をたらり…》世界的お騒がせインフルエンサー(26)が来日する可能性は? ついに編み出した“遠隔ファンサ”の手法
NEWSポストセブン
日本各地に残る性器を祀る祭りを巡っている
《セクハラや研究能力の限界を感じたことも…》“性器崇拝” の“奇祭”を60回以上巡った女性研究者が「沼」に再び引きずり込まれるまで
NEWSポストセブン
初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ手配犯・八田與一の母を直撃》「警察にはもう話したので…」“アクセルベタ踏み”で2人死傷から3年半、“女手ひとつで一生懸命育てた実母”が記者に語ったこと
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン