Go To再開前の予約状況は?
いま、観光地のホテル支配人と話すと必ず出る話題が、“Go Toトラベル再開前の予約状況”についてだ。
「話題性の高い宿泊費補助などのニュースが拡散すると、スタートはまだ先なのに予約流入が冷え込むようになる」と漏らす。Go Toには及ばないが自治体の宿泊費補助に関する施策も同様だという。
確かに、需要喚起のためには大きくニュースになることが必要であるし、いざGo Toトラベルがスタートすればペントアップ需要で予約が一気に集中するのは当然といえば当然である。
わざわざGo Toトラベルを実施しなくとも旅行に行く人は行くという意見もあるが、やはり消費の起爆剤という意義からすると、より観光業界(および関連業界)に幅広く恩恵をという狙いがあるGo Toトラベルの先行きは気になるところだ。
岸田文雄総理は「『Go To 2.0』という名称をつけて取り組みを進める」と構想を打ち出したが、Go Toトラベルを再開するのであれば、様々な問題が露呈した前回の施策をそのまま踏襲するのではなく、バージョンアップした形で展開したい考えだという。
終始ゴタゴタだった前回の失敗
ここでいう前回のGo Toトラベルで露呈した問題とは、中小の事業者への恩恵が少なかったことや、土日や祝日に予約が集中するといった点などが挙げられる。
宿泊業界からも前回のGo Toトラベルの反省から「ピークは除外する」「補助を小さくすべき」といった声も一部出てきている。ただし制度設計の段階において、これらをフォローしていくのは相当困難な作業であることは想像に難くない。
前回を振り返ると、そもそもスタートの前倒しに始まり、複雑なシステムで朝令暮改的な改変も相次ぎ、現場は疲弊、非難が殺到したことは記憶に新しい。地域クーポン利用可能開始日にホテルへ届いておらず、事務局へ問い合わせの電話をしてもまったく繋がらず、困り果てた様子のホテルマンも数多く見た。
また、感染拡大によって突如、都道府県単位で異なる適用を決定するも、エリアによって無料キャンセルの時期にズレが生じるなど、終始ゴタゴタがつきまとった。そうした反省からも、Go Toトラベルの再開にはかなり慎重を期すことが求められる。
Go To 2.0は総選挙後も大きくクローズアップされそうであるが、特にマンパワーも限られている中小事業者の事情も鑑みれば、制度の周知期間を含めた対応について相当な準備が必要になるだろう。