さらなる低価格モデルで日本攻略へ
だが、それらの課題が克服されれば、テスラ車は日本でも爆発的に売れるポテンシャルを持っている。
テスラはここまで、同じ値段で既存のクルマを買うのがバカバカしいと思うようなBEVを出すことをポリシーとして貫いてきた。今回テストドライブしたモデル3パフォーマンスも、価格は補助金抜きで700万円強と高いが、エンジン車なら1000万円程度ではとてもこんな動力性能は手に入らないというパフォーマンスを持っており、感覚的にはむしろ安いと思わせるものがあった。
日本でキラーコンテンツとなりそうなのは、近年イーロン・マスク氏が公言しているモデル3より下の低価格ハッチバックモデルである。テスラのクルマ作りの信念がこのモデルも反映されるとすれば、おそらく電気で走るというだけのクルマにはならないだろう。価格と性能次第では、日本におけるBEVのリーディングモデルになる可能性は十分にある。
テスラが維持費や安心感も含めて持ち前の改革力を発揮し、今後拡大が予想される日本のBEV市場で覇権を握るか、それとも性能がいいだけの瞬間芸的なモデルとしか認知されないか──顧客がサービスにまことにうるさい日本は自動車マーケットの実験場と言われるが、テスラにとって日本を上手く攻略できるかどうかは次の発展段階に向けた新たなビジネスデザインを行ううえでの試金石となるだろう。
テスラ「モデル3 パフォーマンス」(白糸ハイランドウェイにて/筆者撮影)