欧州ではBMWやVWを凌駕

 実際、販売は好調だ。世界販売はまだ年間100万台にも満たないが、作れば作っただけ値引きなしで売れるという状況が続いている。

 たとえばネガティブキャンペーンを張られた中国だが、主力のモデル3は月平均2万台の水準で安定的に売れている。そのモデル3、欧州市場では今年上半期、中型乗用車カテゴリーでBMW「3シリーズ」やフォルクスワーゲン「パサート」を抑えて販売台数首位となった。AセグメントミニカーからFセグメントプレステージリムジンまでの全カテゴリーでBEVがトップを取ったのはこれが初めてである。

 その勢いを駆ってイーロン・マスク氏は世界で生産が立ち上がりつつある中型SUV「モデルY」について、2023年に世界で最も売れるクルマになると公言している。トヨタ「カローラ」やフォルクスワーゲン「ゴルフ」をBEVで倒す気満なのだ。

 ここまで来ると、いくら何でもさすがにイーロン・マスク一流のホラではないかと思いたくもなる。が、テスラのクルマ作りの技術的な成長はこれまでの自動車産業における“カイゼン”のスピードをはるかに超越している感があり、それを思えば実現可能性なしと言い切る自信がなくなった。そのスピード感をつい最近、モデル3のテストドライブを通じて抱いた。

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