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高田文夫、今でも手書き原稿を貫く理由は「ぬくもり」ではなく「効率」

一冊丸ごと手書きという本もある

一冊丸ごと手書きという本もある

 放送作家、タレント、演芸評論家で立川流の「立川藤志楼」として高座にもあがる高田文夫氏が『週刊ポスト』で連載するエッセイ「笑刊ポスト」。今も手書き原稿をFAXで納品している高田氏が、まるごと手書きの本についてつづる。

 * * *
 実はこの連載原稿は“手書き”のものを編集部からいやがられながらも送っているのだ。友人の編集者にきいたら“手書きでFAX”という昭和な作家・もの書きは10人に1人か20人に1人らしい。普通は秘書なり事務所の人間が打ち直して編集へ送るものだが、私の所は全員ラクして何もしない。そのままただ送る。

 急いで書いたりすると間違って出版されることも多々ある。月刊誌もやってるのだが、今月号は噺家の住まいについて書いていて「稲荷町に住んでいた林家正蔵(のちに彦六)は昔気質の人で、最後まで三軒長屋に住んでいた」と書いたら、編集の人間も若いし早とちりだから“三軒長屋”という意味も分からなかったのだろう。「稲荷町の正蔵は三軒茶屋に住んでいた」となっていた。

(例のふるえる声で)「バカヤ~ロ~、あたしが~キャロットタワー~に住むのか~」と天国から小言が届いた。

 きくところによると今でも生原稿で届くのは私の他に中野翠、林真理子、泉麻人がそうらしい。亡くなった坪内祐三もそうだったときく。迷惑な連中なのである。若い編集者にきくと「みんなもうベテランだし、何か言うと逆にみんなキレそうなので、我慢して“手書き”を判読してるんです」だとさ。

 手書きは手書きでぬくもりとか書いた人間の体温など感じられていいもんだとも言い訳気味に言うと、ぬくもりなどまったく必要ないと言う。それよりも効率。

 一冊丸ごと手書きという本が2冊出た。

『ダンカンの企画書』(スモール出版)。たけし軍団であり作家でもあるダンカンの可愛い文字の『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』や『風雲!たけし城』のおバカな企画の数々。そしてバカすぎる絵の数々。奇才の脳味噌の中が少し分かる本。

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