志願者数が回復したワケ
日大はアメフト騒動で減らした志願者数を2020年にすぐ取り戻しているが、その要因は決して日大人気が回復したからではない。
「センター試験に代わって導入された『大学入学共通テスト(2021年導入)』への不安から、受験生全体に難関大学や学部を避ける傾向が強まっていたため、現役合格の“安全パイ”を狙って日大を受験する人が増えた」(大手予備校関係者)
今後の入試動向を見ても日大の志願者増に直結しそうな要素は少なそうだ。
「コロナ禍によって、ただでさえ地方から首都圏の私大を受ける受験生が減っているうえ、東洋大学のように時代に合った情報系・国際系学部などを新設する大学が増える一方で、日大が近年新設したのはスポーツ科学部や危機管理学部など特殊な学部ばかり。志願者数が一気に膨らむことは考えにくい」(石渡氏)
パワハライメージ定着の末路
何はともあれ、日大は教育機関として一刻も早く信頼回復に努める必要があるが、どうやらその道のりは遠そうだ。
「大学側は背任事件の原因究明と再発防止をHPで表明しているだけで、田中理事長は辞任せず、学長の記者会見などもいまだに開かれていません。
理事長を取り巻く組織体制は、長らく昭和的なパワーゲームがまかり通っていたようですし、アメフト騒動に続いてこのまま『日大=パワハラ』のイメージが定着してしまえば、大学ブランドにさらなる傷がつき、それに比例して志願者数が減っていき、じわじわと経営が厳しくなる……という悪循環に陥りかねません」(石渡氏)
日大には110万人を超えるOB・OGも広く社会で活躍しているが、「最近は出身大学を聞かれて『あの日大です』と答えなければならないほど肩身が狭い」(広告会社勤務のOB)という声は多い。
果たして日大はブランド失墜の泥沼から這い上がることができるか──。