10月20日の阿蘇山噴火も前兆の1つ?(時事通信フォト)
この地域では現在、昨年12月に比べて約3cmも地面が隆起し、直下型の地震が頻発している。
同じく、近畿地方でも直下型の地震が続いている。
「活発化した太平洋プレートの“しわ寄せ”をいちばん受けているのが、近畿地方一帯です。特に、亀岡市(京都府)や琵琶湖(滋賀県)の周辺。8月以降、このエリアで地震が増えているのはこのためです」(高橋さん)
さらには10月20日に阿蘇山(熊本県)が噴火したが、これも太平洋プレートに押されたフィリピン海プレートが、“玉突き”のようにユーラシアプレートの中のマグマを圧縮したことによるものだという。
太平洋プレートの活発化はほかのプレートに大きな影響を及ぼしている。そこで専門家が注目しているのが、太平洋プレートとの関係性が深く、「南海トラフ」の震源域があるフィリピン海プレートの動きだ。
「フィリピン海プレートは、ユーラシアプレートの下に毎年数cmの速度で潜り込んでいます。その動きによってひずみが蓄積していき、やがて限界に達してユーラシアプレートが跳ね上がると、長年危惧されている『南海トラフ地震』が発生します」(島村さん)
政府は2019年に、30年以内に南海トラフ地震が発生する確率を80%と予測した。ただでさえ高い確率だが、地殻変動の異変がこの確率を引き上げている可能性もある。高橋さんが警鐘を鳴らす。
「静岡県西部の浜名湖や、愛知県南東部の豊橋市の周辺に、ここ数か月で“ストレス”がたまっています。これらのエリアは南海トラフの東端にあたり、巨大地震を引き起こすきっかけになる可能性を否定できません」
最近は西日本のあちこちで直下型地震が続いているのだが、これも南海トラフ地震発生の不安材料だ。
「歴史記録上、南海トラフ地震は過去に13回起きています。それらをつぶさに見ると、西日本で直下型地震が続いた後に発生するという“法則”があるんです。1944年の『昭和東南海地震』と1946年の『昭和南海地震』は、いずれも発生の前には『鳥取地震』(1943年)や『三河地震』(1945年)といった直下型地震が発生しています。
直近2つの南海トラフ地震はさほど規模が大きくなかったため、次にくるときはさらに大きなエネルギーがたまっていることが予想される。東日本大震災と同等のM9クラス、もしくはそれ以上の可能性は大いにあり得ます」(島村さん)
発生する季節にも、不気味な共通点がある。
「過去13回の南海トラフ地震のうち、5回が12月に発生し、多くが秋から冬にかけて起きています。明確な理由は明らかになっていませんが、この事実を無視することはできません」(島村さん)
※女性セブン2021年12月2日号