ライフ

ソーシャルディスタンスは心の距離も広げた…コロナ禍で増える話下手な人

(写真/Getty Images)

コロナ禍が一旦あけて、久しぶりの人づきあいで交際術の退化を実感する人は多数(写真/Getty Images)

 体当たり取材などを得意とする女性セブンの名物アラ還記者“オバ記者”こと野原広子が、世の中の気になることについて、気ままな意見を投げかける。今回は、コロナ禍で増殖した口下手な人について綴る。

 * * *
 先日、友達と1年ぶりに会って食事をしようということになり、待ち合わせ場所で顔を合わせたとたんよ。

「やだ~ぁ。顔が険しぃー」

 と言って、顔をプイと背けられたの。

 夏から4か月、里帰り介護で母親のシモの世話をしている私は、人づきあいのほとんどを絶っている。鏡も見ずにいた60女の顔は、そりゃあ険しくなっていたと思う。でも、会うなりそれ言う!?

 また別の友達は、待ち合わせの店に行くと、「ドカドカ歩く足音で、店に入ってきたのがあなただってすぐにわかったわ。重量級の人って歩く音が違うね」だって。私、ケンカ売られた?

 さらにさらに、こちらは友人というほどのつきあいではないけれど、数日前、あるマダムからランチに誘われた。マダムは以前から家庭内の小競り合いに関する話題が多い人だったけれど、以前は「こんな話、いくらしても仕方ないね」と、いい感じのところで打ち切っていたのよ。それが今回はエンドレス。夫がこう言ったから私はこう言ってやった。姑がこんなことをするから私はこう思ってこうしたと、オチのない話が延々。

 たまりかねて私が、「そういえば○○さんはどうしているの?」と料理が出たタイミングで話の腰を折り、ほかの人もここぞとばかり○○さんの消息話に乗っかったけど、それで黙るマダムではない。

「で、私、どこまで話したっけ? そうそう、夫がね」と強引に元に戻しちゃう。

 まぁ、私の知り合いだから“類は友を呼ぶ”で、性格濃いめなのかもしれないけれど、「久しぶりに会おうよ」ということになると必ず、ザラついた気持ちで帰宅することになるのよ。

 行きつけの整体院で施術を受けながら、そんなことを整体師さん(34才・女性)に話すと、「ああ、それ、わかります」と、背中を押していた手が止まったの。

「私の友達もみんな会話が下手になっているっていうか、会うと、『えっ、それ言う?』とか、『この人、こんな言い方したっけ?』と思うことが多くて」と言うんだわ。

 彼女いわく、

「私の友達に、ひとりで話してひとりで返事をするクセのある人がいるんですけど、コロナ禍で否応なくそういう状態に置かれた人が大勢いるってことですよね。

 で、もしかしたら私も……?って、わが身を振り返ることになるんです」

 まったく同感だ。

 そもそも、私にとってコロナ禍とは何だったのかと考えてみた。否応なく人ごみに入っていかなくてはならないときのビクビク感のほか、仕事でも生活面でも「コロナ禍のせいで」と思うマイナスなことは数限りなくある。

 だけど、「おかげで」ということも私の場合はあったのよね。

関連キーワード

関連記事

トピックス

日米通算200勝を達成したダルビッシュ有(時事通信フォト)
《ダルビッシュ日米通算200勝》日本ハム元監督・梨田昌孝氏が語る「唐揚げの衣を食べない」「左投げで130キロ」秘話、元コーチ・佐藤義則氏は「熱心な野球談義」を証言
NEWSポストセブン
ギャンブル好きだったことでも有名
【徳光和夫が明かす『妻の認知症』】「買い物に行ってくる」と出かけたまま戻らない失踪トラブル…助け合いながら向き合う「日々の困難」
女性セブン
破局報道が出た2人(SNSより)
《井上咲楽“破局スピード報告”の意外な理由》事務所の大先輩二人に「隠し通せなかった嘘」オズワルド畠中との交際2年半でピリオド
NEWSポストセブン
河村勇輝(共同通信)と中森美琴(自身のInstagram)
《フリフリピンクコーデで観戦》バスケ・河村勇輝の「アイドル彼女」に迫る“海外生活”Xデー
NEWSポストセブン
《私の最初の晩餐》中村雅俊、慶応大学に合格した日に母が作った「人生でいちばん豪勢な“くずかけ”」
《私の最初の晩餐》中村雅俊、慶応大学に合格した日に母が作った「人生でいちばん豪勢な“くずかけ”」
女性セブン
『君の名は。』のプロデューサーだった伊藤耕一郎被告(SNSより)
《20人以上の少女が被害》不同意性交容疑の『君の名は。』プロデューサーが繰り返した買春の卑劣手口 「タワマン&スポーツカー」のド派手ライフ
NEWSポストセブン
ポジティブキャラだが涙もろい一面も
【独立から4年】手越祐也が語る涙の理由「一度離れた人も絶対にわかってくれる」「芸能界を変えていくことはずっと抱いてきた目標です」
女性セブン
生島ヒロシの次男・翔(写真左)が高橋一生にそっくりと話題に
《生島ヒロシは「“二生”だね」》次男・生島翔が高橋一生にそっくりと話題に 相撲観戦で間違われたことも、本人は直撃に「御結婚おめでとうございます!」 
NEWSポストセブン
木本慎之介
【全文公開】西城秀樹さんの長男・木本慎之介、歌手デビューへの決意 サッカー選手の夢を諦めて音楽の道へ「パパの歌い方をめちゃくちゃ研究しています」
女性セブン
大谷のサプライズに驚く少年(ドジャース公式Xより)
《元同僚の賭博疑惑も影響なし?》大谷翔平、真美子夫人との“始球式秘話”で好感度爆上がり “夫婦共演”待望論高まる
NEWSポストセブン
中村佳敬容疑者が寵愛していた元社員の秋元宙美(左)、佐武敬子(中央)。同じく社員の鍵井チエ(右)
100億円集金の裏で超エリート保険マンを「神」と崇めた女性幹部2人は「タワマンあてがわれた愛人」警視庁が無登録営業で逮捕 有名企業会長も落ちた「胸を露出し体をすり寄せ……」“夜の営業”手法
NEWSポストセブン
男装の女性、山田よねを演じる女優・土居志央梨(本人のインスタグラムより)
朝ドラ『虎に翼』で“男装のよね”を演じる土居志央梨 恩師・高橋伴明監督が語る、いい作品にするための「潔い覚悟」
週刊ポスト