スポーツ

チャンピオンズC 桜花賞馬ソダシの「ダート適性」は信頼できるのか

桜花賞を制したソダシ(時事通信フォト)

桜花賞を制したソダシ(時事通信フォト)

 芝とダートでは適性が異なる、のが通説。芝GIを勝った当代きってのアイドルホースのダートGI挑戦は吉と出るのか凶と出るのか。競馬ライターの東田和美氏が考察した。

 * * *
 桜花賞馬ソダシが初めてのダート挑戦。血統的にはむしろダートでこそと思われ、陣営でも「いつかはダートを」と目論んでいたという。札幌記念で芝のGⅠ古馬を撃破しているが、さてダートGⅠ級古馬が相手ではどうなのか。

 これまでチャンピオンズカップに出走した3歳馬はジャパンカップダート(JCD)時代も含めると49頭で5勝2着2回3着3回。斤量差1キロにもかかわらず3歳馬も健闘している。

 クロフネ、カネヒキリなどが3歳で勝ち切っている一方、アドマイヤドン、ゴールドアリュール、ホッコータルマエ、ゴールドドリーム、オメガパフュームなど、その後ダート戦線の主役を張る強者も、3歳時にはこのレースで敗れている。やはり経験がモノを言うレースなのだ。

 3歳牝馬の出走は2頭だけで、第1回のJCDに出走したプリエミネンス(当時4歳)が4着。2009年のラヴェリータが13着。両馬とも芝でデビューしながら春にはダート転向、ともに川崎の関東オークスを勝っていた。ラヴェリータは翌年も出走、同じ勝負服のトランセンドを追走、直線半ばまで食い下がりコンマ6秒差の7着に粘った。やはり経験を積んで逞しくなったのだ。

 ソダシはすでにGⅠを2勝、母系はダートが得意ということで戦績と血統は問題なさそうに思えるが、昨年引退した角居勝彦元調教師が著書『さらば愛しき競馬』(小学館新書)のなかでこう述べている。

《芝での軽い走りに慣れてしまった馬は、砂の上でもやはり軽く走ろうとするので上滑りしがちです。》

 美しい白毛ということでレースではとりわけ目立ち、膨張色だからか(?)力感溢れていてパワーも十分という印象だが、桜花賞ではグランアレグリアを1秒6も上回る1分31秒1のレコードで駆け抜けている。当日は好時計が続出する馬場ではあったが、ダート向きの走法では出せない時計ではないか。

 角居師は《プラス相対的な理由》として《ダート路線をずっと走ってきた馬はしぶとく強くなっている》とも指摘。JC2着もあった自厩舎のデニムアンドルビーやラストインパクトにダートを走らせてみたものの、まるで勝負にならなかったことを例に挙げている。

 これまで芝、ダートの両方でGⅠを勝ったのは5頭。クロフネ、アグネスデジタル、イーグルカフェ、アドマイヤドン、モズアスコット。しかし初ダートでGⅠを勝った馬は1頭もいない。

 ソダシはそのうちの1頭、クロフネ産駒ということでダート適性ありと言われているが、クロフネ産駒はチャンピオンズカップもフェブラリーSも未勝利。3着以内にはいったのは2017年のテイエムジンソクだけ。総数ではダート勝利の方が多いのだが、中央GIクラスとなるとホエールキャプチャ、アエロリット、カレンチャン、スリープレスナイトなど、むしろ産駒は芝のスピードタイプが目立つ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

劉勁松・中国外務省アジア局長(時事通信フォト)
「普段はそういったことはしない人」中国外交官の“両手ポケットイン”動画が拡散、日本側に「頭下げ」疑惑…中国側の“パフォーマンス”との見方も
NEWSポストセブン
俳優の水上恒司が年上女性と真剣交際していることがわかった
【本人が語った「大事な存在」】水上恒司(26)、初ロマンスは“マギー似”の年上女性 直撃に「別に隠すようなことではないと思うので」と堂々宣言
NEWSポストセブン
佳子さまの「多幸感メイク」驚きの声(2025年11月9日、写真/JMPA)
《最旬の「多幸感メイク」に驚きの声》佳子さま、“ふわふわ清楚ワンピース”の装いでメイクの印象を一変させていた 美容関係者は「この“すっぴん風”はまさに今季のトレンド」と称賛
NEWSポストセブン
ラオスに滞在中の天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《ラオスの民族衣装も》愛子さま、動きやすいパンツスタイルでご視察 現地に寄り添うお気持ちあふれるコーデ
NEWSポストセブン
俳優の水上恒司が真剣交際していることがわかった
水上恒司(26)『中学聖日記』から7年…マギー似美女と“庶民派スーパーデート” 取材に「はい、お付き合いしてます」とコメント
NEWSポストセブン
韓国のガールズグループ「AFTERSCHOOL」の元メンバーで女優のNANA(Instagramより)
《ほっそりボディに浮き出た「腹筋」に再注目》韓国アイドル・NANA、自宅に侵入した強盗犯の男を“返り討ち”に…男が病院に搬送  
NEWSポストセブン
ラオスに到着された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月17日、撮影/横田紋子)
《初の外国公式訪問》愛子さま、母・雅子さまの“定番”デザインでラオスに到着 ペールブルーのセットアップに白の縁取りでメリハリのある上品な装い
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(AFLO/時事通信フォト)
「“穴持たず”を見つけたら、ためらわずに撃て」猟師の間で言われている「冬眠しない熊」との対峙方法《戦前の日本で発生した恐怖のヒグマ事件》
NEWSポストセブン
ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン