芸能

ネット沸騰の長編ミステリー『最愛』『真犯人フラグ』 意外な支持層の違い

吉高由里子

『最愛』に主演する吉高由里子

 今期のドラマで話題を呼んでいるのが『最愛』(TBS系)と『真犯人フラグ』(日本テレビ系)だ。いずれも長編ミステリーという共通を持つが、それぞれのドラマを支持する人たちの傾向は少し違うようだ。コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。

 * * *
 12月に入って秋ドラマが終盤戦に入り、クライマックスに向けて物語が動く中でも、ネット上で特に盛り上がっているのが、『最愛』と『真犯人フラグ』の2作。

どちらも長編ミステリーであり、『最愛』は見逃し配信で今秋トップどころかTBSドラマ最高の数値を叩き出し、『真犯人フラグ』は放送前後を中心に活発な書き込みが見られます。

『最愛』は『夜行観覧車』『Nのために』『リバース』(TBS系)、『真犯人フラグ』は『あなたの番です』(日本テレビ系)と、「どちらも長編ミステリーの制作に長けたスタッフが手がけている」という共通点があるにもかかわらず、なぜ異なる形で盛り上がっているのでしょうか。

考察の『真犯人』、ストーリーの『最愛』

 まず『真犯人フラグ』は、各話の終盤で『あなたの番です』を思い出させるようなショッキングなシーンを連発。

 主人公・相良凌介(西島秀俊)の勤務先に子どもの冷凍死体が送られてきたり、建設している新居の基礎コンクリートに娘の靴が埋められていたり、自宅の窓ガラスを突き破ってサッカーボールが蹴り込まれたり、監禁された娘・光莉(原菜乃華)の動画が送られてきたり、住宅メーカーの営業マン・林洋一(深水元基)と妻・真帆(宮沢りえ)の密会写真が送られてきたり……そのたびにネット上は考察を楽しむ人々のコメントが飛び交っています。

 さらに情報番組の『スッキリ』(日本テレビ系)で毎週金曜日に元テレビ東京プロデューサー・佐久間宣行さんを招いて、“生考察コーナー”を放送。このほかにも、犯人を予想するアンケートランキング「一番怪しいのは誰!? みんなの真犯人フラグ」、気になるシーンの本編切り出し動画や「あなたが真犯人?バカなフリして聞いてみた」というキャストインタビュー動画などもあり、ネット上の考察をさらに加速させるような工夫が見られます。

 また、前回放送では『あなたの番です』のキャラクターである医師・藤井淳史(片桐仁)と看護師・桜木るり(筧美和子)が劇中に登場。今後もさらなるキャラクターの出演が見込まれるなど、思わずネット上に書き込みたくなる仕掛けが用意されています。

 一方、『最愛』にはショッキングなシーンや書き込みを加速するような仕掛けは少なく、あくまでストーリー重視。15年前の渡辺康介(朝井大智)失踪事件と、起きたばかりの父・渡辺昭(酒向芳)殺人事件をめぐるミステリーと、真田梨央(吉高由里子)、宮崎大輝(松下洸平)、加瀬賢一郞(井浦新)、朝宮優(高橋文哉)を中心にした最愛の人をめぐるせつない物語で、視聴者の関心を引きつけています。

 ネット上にはミステリーの考察も書きこまれていますが、圧倒的に多いのは作品全体を称える声。「今期イチ」「ストーリーも映像も凄い」「一人ひとりの演技に圧倒される」「一週間が待ち遠しい」などと、さまざまな角度から称賛され、考察が前に出ることはそれほどありません。

『真犯人フラグ』の視聴者には「少しでも早く犯人を当てたい」という人が多く、ブームが続いている謎解きクイズやイベントなどと同じような楽しみ方をしているようです。一方、『最愛』の視聴者にはこれといった属性は感じられません。長編ミステリーの犯人捜しを楽しむようなコアなドラマファンだけでなく、むしろそれほどドラマを見ない人が「一度見たら引きつけられて次が気になっている」という状態が散見されます。

関連キーワード

関連記事

トピックス

小林ひとみ
結婚したのは“事務所の社長”…元セクシー女優・小林ひとみ(62)が直面した“2児の子育て”と“実際の収入”「背に腹は代えられない」仕事と育児を両立した“怒涛の日々” 
NEWSポストセブン
松田聖子のものまねタレント・Seiko
《ステージ4の大腸がん公表》松田聖子のものまねタレント・Seikoが語った「“余命3か月”を過ぎた現在」…「子供がいたらどんなに良かっただろう」と語る“真意”
NEWSポストセブン
今年5月に芸能界を引退した西内まりや
《西内まりやの意外な現在…》芸能界引退に姉の裁判は「関係なかったのに」と惜しむ声 全SNS削除も、年内に目撃されていた「ファッションイベントでの姿」
NEWSポストセブン
(EPA=時事)
《2025の秋篠宮家・佳子さまは“ビジュ重視”》「クッキリ服」「寝顔騒動」…SNSの中心にいつづけた1年間 紀子さまが望む「彼女らしい生き方」とは
NEWSポストセブン
イギリス出身のお騒がせ女性インフルエンサーであるボニー・ブルー(AFP=時事)
《大胆オフショルの金髪美女が小瓶に唾液をたらり…》世界的お騒がせインフルエンサー(26)が来日する可能性は? ついに編み出した“遠隔ファンサ”の手法
NEWSポストセブン
日本各地に残る性器を祀る祭りを巡っている
《セクハラや研究能力の限界を感じたことも…》“性器崇拝” の“奇祭”を60回以上巡った女性研究者が「沼」に再び引きずり込まれるまで
NEWSポストセブン
初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ手配犯・八田與一の母を直撃》「警察にはもう話したので…」“アクセルベタ踏み”で2人死傷から3年半、“女手ひとつで一生懸命育てた実母”が記者に語ったこと
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン