感染症対策の情報を発信している岡田晴恵・白鴎大教授

感染症対策の情報を発信している岡田晴恵・白鴎大教授

Q. 感染拡大の影響は?

A. 医療逼迫だけでなく、いわゆる「病欠者」の影響が国民生活に出てくると考えられます。オミクロン株に関しては感染者が同時期に出やすいため、コロナによる健康被害に加えて病欠者による企業の社会活動、社会インフラなどに支障が出る可能性があります。

 100年前に「スペインかぜ」が流行した頃なら人々に自給自足が残っていましたが、現代の日本は社会組織が細分化されている。トラック運転手の人が2割病欠したらコンビニの商品はどうなるか。スーパーからは生鮮食料品が減り、独り暮らしの人などは食べる物にも困るかもしれない等、ライフライン維持の対策を今、考えるべきです。

Q. オミクロン株の後にも変異株はやってくる?

A. オミクロン株が最後になるかは見当がつきません。WHOは世界中に平等にワクチンを広めるよう呼びかけていますが、イスラエルではワクチン4回目接種に入る一方、日本は多くの高齢者の接種もこれから。今も3回目接種のためにモデルナ製ワクチンを追加確保したと言っている段階です。

 一方、途上国にワクチンが行き渡るまでは、結局、また新たな変異株が出るリスクは残ったままです。

Q. 第6波とどう向き合うべき?

A. オミクロン株は、他のコロナとは違う次元の話だということを認識することが大事です。健康被害、医療逼迫だけでなく、社会インフラや国民生活にまで及ぶ影響をどう最小限にするのか。それが、この感染力の強いウイルスが出た時に重要なこと。社会的影響が大きい点では、デルタ株より警戒しなければならない状況だと考えています。

(了。第1回から読む)

【プロフィール】
岡田晴恵(おかだ・はるえ)/共立薬科大学大学院修了後、順天堂大学で医学博士を取得。国立感染症研究所、ドイツ・マールブルク大学医学部ウイルス学研究所、経団連21世紀政策研究所などを経て、白鴎大学教授。専門は感染免疫学、公衆衛生学。テレビやラジオへの出演、専門書から児童書まで幅広い執筆などを通して感染症対策に関する情報を発信している。

※週刊ポスト2022年1月28日号

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