国内

「オミクロンの楽観視はいけない。予防の強化を」岡田晴恵氏が緊急解説

「感染予防を強化すべき」と語る岡田晴恵・白鴎大教授

「感染予防を強化すべき」と語る岡田晴恵・白鴎大教授

 新型コロナ「第6波」が襲来するなか、“軽症で済む”との楽観論も広がっている。はたして本当にそうなのか。「コロナの女王」岡田晴恵・白鴎大教授が緊急解説する。【全4回の第1回】

 オミクロン株の拡大で、連日、過去最多の新規感染者数を更新している。WHO(世界保健機関)は1月18日、(16日までの)1週間に確認された世界の新規感染者数が約1874万人で過去最多だったことを発表した。テドロス事務局長は「軽症の病気だとの見方は判断を誤らせる」と語り、パンデミックは「終わりには程遠い」と警告した。

 2020年1月、武漢で謎の新型ウイルスが発生したと報じられた当初からテレビなどで新型コロナの解説を続ける白鴎大学教授の岡田晴恵氏は、「オミクロン株はデルタまでの新型コロナとは異なる性質のウイルスと考えるべきです」と指摘する。

「“軽症”という言葉が一人歩きしていますが、日本のコロナの重症度分類の基準は主に『酸素飽和度』で、96%以上だと軽症、93~96%で中等症I、93%以下で中等症IIとなります。中等症以上は肺炎のような症状があったり、酸素投与が必要だったりする人ということです。酸素飽和度が96%を下回らない限りは、高熱が出ても『軽症者』に分類されました。それは、国民感覚の軽症とは異なるはずです。オミクロンでも38℃以上の熱や咳で苦しい、倦怠感がひどい方などもいますが、多くは軽症として自宅療養になるでしょう。肺炎のリスクは減りましたが、重症化する人もいますし、持病が悪化して入院した人もいます。大阪の入院者、重症者の内訳でも60代以上が増えています」(岡田氏)

 沖縄県内で確認されたオミクロン株の患者を対象にした国立感染症研究所などの調査では、感染者の9割に症状があったという結果が出た。その内訳は、8割以上の人に発熱があり、咳や全身の倦怠感があった人も半数を超えた。感染した人のうち67.6%がワクチンを2回接種しており、ブレイクスルー感染が多いこともわかっている。

「英国ではワクチンの3回接種が約6割でもあのような流行になっています。日本はまだ3回目のブースター接種は国民の2%です。日本の高齢者率の高さからも、オミクロンの楽観視はいけません。さらに今、検査の陽性率も上がり、検査が足りていません。感染者数が増えることで濃厚接触者も増加します。現在の感染者数は氷山の一角と思って、感染予防を強化すべきです」(岡田氏)

(第2回につづく)

【プロフィール】
岡田晴恵(おかだ・はるえ)/共立薬科大学大学院修了後、順天堂大学で医学博士を取得。国立感染症研究所、ドイツ・マールブルク大学医学部ウイルス学研究所、経団連21世紀政策研究所などを経て、白鴎大学教授。専門は感染免疫学、公衆衛生学。テレビやラジオへの出演、専門書から児童書まで幅広い執筆などを通して感染症対策に関する情報を発信している。

※週刊ポスト2022年2月11日号

関連記事

トピックス

鮮やかなロイヤルブルーのワンピースで登場された佳子さま(写真/共同通信社)
佳子さま、国スポ閉会式での「クッキリ服」 皇室のドレスコードでは、どう位置づけられるのか? 皇室解説者は「ご自身がお考えになって選ばれたと思います」と分析
週刊ポスト
知床半島でヒグマが大量出没(時事通信フォト)
《現地ルポ》知床半島でヒグマを駆除するレンジャーたちが見た「壮絶現場」 市街地各所に大量出没、1年に185頭を処分…「人間の世界がクマに制圧されかけている」
週刊ポスト
連覇を狙う大の里に黄信号か(時事通信フォト)
《大相撲ロンドン公演で大の里がピンチ?》ロンドン巡業の翌場所に東西横綱や若貴&曙が散々な成績になった“34年前の悪夢”「人気力士の疲労は相当なもの」との指摘も
週刊ポスト
お騒がせインフルエンサーのボニー・ブルー(インスタグラムより)
「バスの車体が不自然に揺れ続ける」“タダで行為できます”金髪美女インフルエンサー(26)が乱倫バスツアーにかけた巨額の費用「価値は十分あった」
NEWSポストセブン
イベント出演辞退を連発している米倉涼子。
《長引く捜査》「ネットドラマでさえ扱いに困る」“マトリガサ入れ報道”米倉涼子はこの先どうなる? 元東京地検公安部長が指摘する「宙ぶらりんがずっと続く可能性」
マンションの周囲や敷地内にスマホを見ながら立っている女性が増えた(写真提供/イメージマート)
《高級タワマンがパパ活の現場に》元住民が嘆きの告発 周辺や敷地内に露出多めの女性が増え、スマホを片手に…居住者用ラウンジでデート、共用スペースでどんちゃん騒ぎも
NEWSポストセブン
アドヴァ・ラヴィ容疑者(Instagramより)
「性的被害を告発するとの脅しも…」アメリカ美女モデル(27)がマッチングアプリで高齢男性に“ロマンス”装い窃盗、高級住宅街で10件超の被害【LA保安局が異例の投稿】
NEWSポストセブン
デビュー25周年を迎えた後藤真希
デビュー25周年の後藤真希 「なんだか“作ったもの”に感じてしまった」とモー娘。時代の葛藤明かす きゃんちゅー、AKBとのコラボで感じた“意識の変化”も
NEWSポストセブン
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(時事通信フォト・目撃者提供)
《ラブホ通い詰め問題でも続投》キリッとした目元と蠱惑的な口元…卒アル写真で見えた小川晶市長の“平成の女子高生”時代、同級生が明かす「市長のルーツ」も
NEWSポストセブン
亡くなった辻上里菜さん(写真/里菜さんの母親提供)
《22歳シングルマザー「ゴルフクラブ殴打殺人事件」に新証言》裁判で認められた被告の「女性と別の男の2人の脅されていた」の主張に、当事者である“別の男”が反論 「彼女が殺されたことも知らなかった」と手紙に綴る
NEWSポストセブン
韓国の人気女性ライバー(24)が50代男性のファンから殺害される事件が起きた(Instagramより)
「車に強引に引きずり込んで…」「遺体には多数のアザと首を絞められた痕」韓国・人気女性ライバー(24)殺害、50代男性“VIPファン”による配信30分後の凶行
NEWSポストセブン
本拠地で大活躍を見せた大谷翔平と、妻の真美子さん
《真美子さんと娘が待つスイートルームに直行》大谷翔平が試合後に見せた満面の笑み、アップ中も「スタンドに笑顔で手を振って…」本拠地で見られる“家族の絆”
NEWSポストセブン