バイアグラの様々な研究が進む(写真/共同通信社)

バイアグラの様々な研究が進む(写真/共同通信社)

 PDE5阻害薬が炎症性腸疾患を治療する可能性も指摘される。

「昨年10月、潰瘍性大腸炎などの治療にPDE5阻害薬が効く可能性を中国の浙江大学研究チームが指摘しました。

 また10数年前から海外では、間質性肺炎の一種である特発性肺線維症の症状をPDE5阻害薬が軽減するとの研究が進んでいます」(室井氏)

飲み合わせには注意を

 直近のホットな話題は新型コロナとの関係だ。

「コロナに感染すると免疫システムが発動し、炎症反応が生じて細胞がダメージを負います。PDE5阻害薬には炎症を抑える作用があり、コロナの重症化予防に役立つ可能性が指摘されています。イタリアでは、コロナの重症化予防にバイアグラを投与したことを報告する論文もある。またPDE55阻害薬が免疫機能を強化し、コロナウイルスに打ち勝つことができるとのデータを示した論文もあります」(川崎医科大学附属病院院長の永井敦医師、以下同)

 その他にも多様な可能性がある。

「PDE5阻害薬は男性ホルモンのテストステロンを増加させるため、男性の更年期障害への効果が期待できる。また血管内皮を修復する機能もあり、血管年齢を若返らせるとも言われます。他にも、抗炎症効果で前立腺炎や精巣上体炎を治療する可能性や、排尿を改善する効果が指摘されます。

 安全面でも、バイアグラは20年以上利用されているので問題はないと考えられる。昨今の研究からも、PDE5阻害薬はまだかなりのポテンシャルを秘めていると思われます」

 期待が大きいバイアグラだが、服用時の注意事項もある。最も注意すべきは「飲み合わせ」だ。

「ニトログリセリンなど虚血性心疾患治療薬の硝酸剤やNO供与剤とバイアグラを併用すると、血圧が急激に下がって心臓血管系のトラブルが生じるリスクがあります」

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