伊集院光は「生活のすべてをTBSラジオにかけていた」と言われる(時事通信フォト)

伊集院光は「生活のすべてをTBSラジオに捧げていた」と言われる(時事通信フォト)

 伊集院は自ら降板を決断。朝帯のワイド番組の後任にはパンサーの向井慧が起用される。

「向井は根っからのラジオ好きで、現在4本もの番組を持っている。ラジオ愛のある人間なので、リスナーにも好かれるでしょう。ただ、“TBSラジオの顔”と言える枠を今まで同局でレギュラーを持ったことのないタレントに任せざるを得ないところに、苦しさを感じます」

新社長就任で『スペシャルウィーク』を廃止

 マニアックな内容でリスナーを魅了していたTBSラジオだったが、2018年に三村孝成氏が社長に就任すると、その方向性が徐々に変化していった。

「まず、三村社長は2か月に1度の聴取率調査にこだわることを辞め、『ラジオ365データ』を重視するようになりました。これはradiko(ラジコ)などを使い、番組への延べ接触人数がわかるデータです。『聴取率調査』よりも実数を正確に把握できます。これに伴い、聴取率調査週間の時に行なっていた『スペシャルウィーク』を廃止した。

 確かに『スペシャルウィーク』は大物ゲストを呼んだり、現金をプレゼントしたりしたので、経費は大幅に削減されたでしょう。ただ、この方針には伊集院さんも疑問を述べていたし、神田伯山も未だにラジオでネタ混じりにイジっている。三村社長が就任してから、リスナーもパーソナリティもTBSラジオに対してこれまでと違う感覚を抱き始めているようです」

 2019年3月には、夕方のワイド番組で同時間帯聴取率1位の『荒川強啓デイキャッチ』を終了させ、尾崎世界観やCreepy Nuts のDJ松永などを起用して若者向けにシフトした『ACTION』をスタートさせた。しかし、1年半で打ち切りとなり、今度は午後10時台で放送されていた『荻上チキ・Session』を持ってきた。

「ここ数年の“迷走”の象徴的な出来事かもしれません。聴取率調査を重視せず、高齢層からの脱却を図ると言っても、同時間帯1位の『デイキャッチ』を終わらせたら、他の番組も含めた制作陣は疑問に思うし、リスナーにもTBSラジオへの不信感が生まれる。いくらradikoがあるからと言っても、中高生は部活があるし、大学生はまだ授業の時間です。若者は平日の夕方にラジオを聞かないでしょう。

 それは『ACTION』を始める前からわかっていたはず。1年半で、慌てて『荒川強啓デイキャッチ』と同じくニュースを扱う『荻上チキ・Session』を22時台から夕方に移動させましたが、だったら『デイキャッチ』のままで良かったのではないか、という声も出ています」

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