敗戦後にアメリカに押しつけられた憲法を破棄し、自主独立の理念を持つ新しい憲法を制定する。それこそが石原氏が政治生命を懸けて追求した夢だった。実際に都知事の職を辞し、「最後のご奉公をしたい」と80歳で国政に電撃復帰したのも、自主憲法制定を実現したいとの思いからだった。

 国会議員、都知事時代を通じて、政治家や官僚、国民を叱咤した石原氏。度重なる過激発言の背後にあったのは、「国家ビジョンが見えない日本人」への危機意識だった。

「日本がどういう国になろうとしているのかさっぱりわからないね。僕は僕なりのひとつの国家ビジョンがあった」(週刊ポスト2000年12月29日号掲載)

 若い頃から自主独立の精神を持ち、確固たる国家ビジョンをもとに発言を続けた石原氏は、国家論を避ける戦後日本において稀有な政治家だった。

※週刊ポスト2022年2月18・25日号

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