芸能

主演作でイメージ覆した佐藤二朗 絶妙な“おかしみ”が見せる新たな顔

佐藤二朗

コミカルなパブリックイメージを封印した佐藤二朗

 1月21日より公開中の佐藤二朗(52才)主演の映画『さがす』。本作は、失踪した父と、その父を必死に捜す娘の関係を描いたサスペンス。先の読めない物語や俳優たちの名演に唸る人も多く、SNSなどの口コミには「緻密な物語の構成に衝撃を受けた」、「佐藤二朗の実力を思い知らされた」といった言葉が並んだ。特に注目なのが、やはりシリアスに徹した佐藤の演技だ。佐藤が見せる俳優としての新たな一面について、映画や演劇に詳しいライターの折田侑駿さんが解説する。

 * * *
 本作は、初長編映画『岬の兄妹』が国内外で高い評価を受けた片山慎三監督(40才)の長編2作目にして商業デビュー作。次世代クリエイター映画開発プロジェクト「CINEMUNI」の第一弾作品だ。「指名手配中の連続殺人犯を探す」と口にして失踪した男とその娘、そして彼らに関わる周囲の者たちの姿を独自のタッチで描き出し、シリアスなトーンながらもエンターテインメント性の高い作品に仕上がっている。主演の佐藤は監督からの熱望を受け、オファーに応えたのだという。

 舞台は大阪の下町。中学生の娘・楓と暮らす原田智(佐藤二朗)はある日、「指名手配中の連続殺人犯を見かけた、捕まえたら懸賞金300万円がもらえる」と楓に話す。楓は父のいつもの冗談だと思い相手にしなかったが、その翌朝、智はこつ然と姿を消してしまう。警察には相手にしてもらえず、何とか手がかりを掴もうと楓が奔走していると、日雇い現場に父の名前が。しかし向かった先にいたのは見知らぬ若い男。失意に暮れる楓がふと連続殺人犯のチラシに目をやると、そこには日雇い現場にいた、父と同じ名の若い男の顔写真が載っているのだった。

 この特異な物語を支えるキャラクターには、フレッシュな若手から大ベテランまで多彩な俳優陣が配された。娘の楓役をエネルギッシュに演じる伊東蒼(16才)は、昨年公開された映画『空白』での好演も記憶に新しいところ。今作でも物語の推進力となる重要な役を見事に演じ上げ、ベテラン勢に負けぬ存在感を放っている。連続殺人鬼役を演じた清水尋也(22才)は、昨年放送された朝ドラ『おかえりモネ』(NHK)での爽やかなイメージを完全に払拭。観客を恐怖に引きずり込む怪演ぶりが話題となっている。その他、森田望智(25才)、松岡依都美(41才)、品川徹(86才)らが脇を固めている。そんな座組をけん引するのが、主演の佐藤二朗である。

関連キーワード

関連記事

トピックス

維新はどう対応するのか(左から藤田文武・日本維新の会共同代表、吉村洋文・大阪府知事/時事通信フォト)
《政治責任の行方は》維新の遠藤敬・首相補佐官に秘書給与800万円還流疑惑 遠藤事務所は「適正に対応している」とするも維新は「自発的でないなら問題と言える」の見解
週刊ポスト
優勝パレードでは終始寄り添っていた真美子夫人と大谷翔平選手(キルステン・ワトソンさんのInstagramより)
《大谷翔平がWBC出場表明》真美子さん、佐々木朗希の妻にアドバイスか「東京ラウンドのタイミングで顔出ししてみたら?」 日本での“奥様会デビュー”計画
女性セブン
パーキンソン病であることを公表した美川憲一
《美川憲一が車イスから自ら降り立ち…》12月の復帰ステージは完売、「洞不全症候群」「パーキンソン病」で活動休止中も復帰コンサートに懸ける“特別な想い”【ファンは復帰を待望】 
NEWSポストセブン
遠藤敬・維新国対委員長に公金還流疑惑(時事通信フォト)
《自維連立のキーマンに重大疑惑》維新国対委員長の遠藤敬・首相補佐官に秘書給与800万円還流疑惑 元秘書の証言「振り込まれた給料の中から寄付する形だった」「いま考えるとどこかおかしい」
週刊ポスト
「交際関係とコーチ契約を解消する」と発表した都玲華(Getty Images)
女子ゴルフ・都玲華、30歳差コーチとの“禁断愛”に両親は複雑な思いか “さくらパパ”横峯良郎氏は「痛いほどわかる」「娘がこんなことになったらと考えると…」
週刊ポスト
話題を呼んだ「金ピカ辰己」(時事通信フォト)
《オファーが来ない…楽天・辰己涼介の厳しいFA戦線》他球団が二の足を踏む「球場外の立ち振る舞い」「海外志向」 YouTuber妻は献身サポート
NEWSポストセブン
高市早苗首相の「台湾有事」発言以降、日中関係の悪化が止まらない(時事通信フォト)
《高市首相の”台湾有事発言”で続く緊張》中国なしでも日本はやっていける? 元家電メーカー技術者「中国製なしなんて無理」「そもそも日本人が日本製を追いつめた」
NEWSポストセブン
海外セレブも愛用するアスレジャースタイル(ケンダル・ジェンナーのInstagramより)
「誰もが持っているものだから恥ずかしいとか思いません」日本の学生にも普及する“カタチが丸わかり”なアスレジャー オフィスでは? マナー講師が注意喚起「職種やTPOに合わせて」
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「旧統一教会から返金され30歳から毎月13万円を受け取り」「SNSの『お金配ります』投稿に応募…」山上徹也被告の“経済状況のリアル”【安倍元首相・銃撃事件公判】
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《バリ島でへそ出しトップスで若者と密着》お騒がせ金髪美女インフルエンサー(26)が現地警察に拘束されていた【海外メディアが一斉に報じる】
NEWSポストセブン
大谷が語った「遠征に行きたくない」の真意とは
《真美子さんとのリラックス空間》大谷翔平が「遠征に行きたくない」と語る“自宅の心地よさ”…外食はほとんどせず、自宅で節目に味わっていた「和の味覚」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 維新の首相補佐官に「秘書給与ピンハネ」疑惑ほか
「週刊ポスト」本日発売! 維新の首相補佐官に「秘書給与ピンハネ」疑惑ほか
NEWSポストセブン